オリ リーグ優勝紙面企画で爆笑トーク 取材に快く応じてくれた宮城&紅林の“人間力”に感服

[ 2021年11月2日 07:40 ]

<オリックス宮崎キャンプ休日>ドラフト1位の宮城大弥投手(左、興南)にイチゴをほおばらせる同2位の紅林弘太郎内野手(駿河総合)
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 「こんなに、ゆるくて優勝紙面としてふさわしいのかな?」と、こちらが不安になった。2人の話が、おもしろかったから。オリックス25年ぶりのリーグ優勝を伝えた10月28日付けのスポニチ紙面で掲載した「高卒2年目コンビ 宮城と紅林が明かす、それぞれの素顔」のこと。高卒2年目コンビはオリックスの原動力の一つ。企画自体は成立すると思っていたが、取材しながら、お腹がよじれた。

 ロッテとのし烈な首位争いを繰り広げていた大事な時期。宮城は先発投手として重要な試合を託される。絶対に迷惑をかけられない。比較的時間に余裕がある日に話を聞かせてもらえたらと頼んだ。

 「クレがどんな人かを話すだけですよね、いつでも大丈夫ですよ、変な人ですから」。

 宮城 「舞洲で(山崎)福也さんが練習していた時です。僕は休みで、隣接する寮の部屋にいました。クレが福也さんに“宮城を呼んできてくれ”と頼まれたそうで、僕の部屋のドアを“コンコン”って。僕はドアを開けるじゃないですか、でも、誰もいないんです。不思議です。もうピンポンダッシュですよね。クレはコンコンしたら、すぐ隣りの自分の部屋に戻ったんですって。普通コンコンしたら人が出てくるまで待ってますよね。彼は何がしたいのか…。野球選手だからよかったけど、会社員とか無理です。すぐクビです」

 あはは。おもろ。大事な時期に申し訳ない。さて、後日。紅林にお願いしようと、と思っていたら…。

 甲高い金属音のような嫌な音が、ペイペイドームに響き渡った。左手首を抑えて苦悶の表情で、紅林はうずくまった。10月10日のソフトバンク戦のこと。紅林に死球を与えたソフトバンク・千賀も「折れたと思う」と言うほど、誰もが骨折の可能性を疑ったはずだ。

 「これは、ゆるい話なんて聞いている場合ではない。断られて当然」と思い、関係各所に取材。その日のうちに「骨折していなさそうだ」ということをキャッチしたので、紅林に「企画の件、無理しないでくださいね、断ってくれても大丈夫ですよ」と連絡。すると、電話越しに「カッチャ、カッチャ」と金属音が。安静にしていると思っていた紅林は、舞洲のウエート室にいた。頑丈すぎる。それどころか、「全然大丈です。宮城の話ですよね、何でもあります」と宮城の暴露話を語り出したから、もう笑うしかなかった。

 紅林 「ドンキホーテでジャッキーカルパスを“箱買い”して部屋に置いているんですが、気がつくと、めっちゃ減っているんです。あいつに食べられているんです。その場で食べているみたいで、包み紙のゴミが部屋のあちこちに落ちていて。最近は僕が部屋にいる時にも勝手に入ってきて食べていく…」

 痛いはずなのに申し訳ない、と思いながらゲラゲラ笑った。大事な時期に。そう思うこちらをよそに、紅林は“もっと面白いこと言ってやろう”という気概がグングンだった。

 25年ぶりの悲願のリーグ優勝。その過程で、誰もが神経質になる。それが当たり前。取材する側としては、迷惑がられるのが当たり前。だからこそ、極力、監督や選手、関係者の邪魔にならないように心掛ける。言葉尻を間違えて選手の気に障るような言い回しになってしまい、謝り倒すこともある。宮城も、紅林も、本当に大事な時期に快く取材に応じてくれた。2人の“人間力”を尊敬する。オリックスの次代を担うのが、この同期コンビということが頼もしい。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年11月2日のニュース