日本ハム退任の栗山監督、「栗の樹ファーム」こそ原点 落葉きのこの味噌汁、またいつか…

[ 2021年11月2日 05:30 ]

退任会見で心境を語る栗山監督(撮影・高橋 茂夫)
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 【記者フリートーク 専門委員・秋村 誠人】もう9年も前のことだ。監督1年目の12年にリーグ優勝を決めた数日後、栗の樹ファームにお邪魔した。季節は晩秋。栗山監督に振る舞ってもらった落葉きのこのお味噌汁の味は今でも忘れられない。

 何とも言えない味わいと独特の食感。その日の朝、裏山で栗山監督が採ってきてくれたものだった。「な、おいしいだろ」。初めて食べる記者にそう言って笑ったが、優勝数日後に裏山できのこ採りをする。自然の中で暮らす栗山監督の姿を感じた瞬間だった。

 富良野市が舞台のテレビドラマ「北の国から」の影響も大きかったそうだ。「大地の恵みを受けて動物たちが生きる。自然と一緒にいると、人が生かされてることがよく分かるよ」。自然の中で生きる意味を教えてくれる落葉きのこを、コロナが収まったらまた食べにいきたい。

 【同 日本ハム担当・東尾 洋樹】栗山監督は生活拠点を置く栗山町の自然と選手の育成法をリンクさせてきた。栗の樹ファームの目の前に広がる大自然の中で、日々、生い茂る植物や動物と対話を重ねてきた。

 「去年まいたはずの種が今年ぴゅっと芽が出たりする。待つ時は待たないといけないと、自然と接していて感じる。手を入れたらどこかで必ず反応する。それは来年かもしれないし、3年後かもしれない。そう信じて選手たちに向かっていくしかない」と話したことがある。

 選手にもそれぞれの成長のスピードがある。清宮ら在任中に芽が出なかった選手もいる。それでも将来、花開くように命を懸けて手は打ってきた。教え子たちが北の大地で必ずやたくましくなった姿を見せてくれると信じている。

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2021年11月2日のニュース