【新井さんが行く!】新人王は投手と野手で部門を分けてみては 鳥谷は学んだことを次世代に伝えてほしい

[ 2021年11月2日 05:30 ]

今季限りで引退する鳥谷

 レギュラーシーズンは全日程が終了。両リーグとも若い新戦力の活躍が目立ち、特にセ・リーグは新人王の行方が注目されている。

 広島・栗林は1年目で好成績という水準ではなく、歴代のクローザーと比較しても驚異的な数字だと思う。東京五輪での奮闘も光る。DeNA・牧は打撃3部門とも素晴らしい成績。阪神には3人もいる。佐藤輝の長打力はスゴいし、中野は守備の負担の大きいショートを守って盗塁王、伊藤将も10勝した。年度が違っていれば、全員が新人王になっていてもおかしくない。決めるのは記者投票。もし投票権を持っていたら、迷いに迷って1人だけを選べない…。

 これを機に投手部門と野手部門に分けてはどうだろう。そもそも投手と野手の成績は単純に比較できない。それにアマチュア球界のレベルは年々高まっている。中野はドラフト上位でなく6位。大学と社会人を経てのプロ入りで、全体的に技術が底上げされていることを示す好例だ。ヤクルト・奥川もまだ高卒2年目。昔のように数年間は体作り…という時代ではなく、今年のような“当たり年”が珍しくなくなるかもしれない。

 新人王のチャンスはプロ野球人生で一度しかない。投打1人ずつ、セパで計4人の新人王がいてもいいのでは。本人もうれしいだろうし、ファンにとっても応援しているチームから新人王が生まれれば誇らしいと思う。喜びは多い方がいいし、大きい方がいい。球界として盛り上がる。

 台頭する選手がいれば身を引く選手もいる。引退を決めた鳥谷とは阪神で7年間一緒だった。クールに見えて人一倍負けず嫌い。努力でうまくなり、努力する才能を持っている。オフも夜中3時にトレーニングしていると知り、「よくできるなあ?」と聞いたことがあった。「楽しんでやっています。練習して体が強くなるのが楽しいし、うまくなるのが楽しいです」と。

 この2年間は家族と離れて単身での生活。大変な苦労もあったと思う。一方でいままでと違う球団を経験し、視野も広がったはずだ。ゆっくり休んだ後、また必ずユニホームを着ることになると思う。学んできたものを、次の世代に伝えていってほしい。
(スポニチ本紙評論家)

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