戦力外通告の季節到来 華やかイメージの裏で…プロの厳しさ痛感

[ 2021年11月1日 09:00 ]

巨人・原監督。「(会社員のように)定年退職まで仕事ができるなんて全く思っていません」と語る
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 今年もプロ野球に引退、戦力外の季節がやってきた。現場で取材をしていても、なんとも言えない嫌~な空気感がある。来季の続投が決まった巨人・原辰徳監督(63)は現役時代からの心情を「一年一年。一試合、一日、一シーズンの積み重ね。(会社員のように)定年退職まで仕事ができるなんて全く思っていません」と語った。

 金融庁が19年に発表した「高齢社会における資産形成・管理」に関する報告書で「95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要」と試算した。いわゆる「老後資金2000万円問題」だが、プロ野球選手には当てはまらない。自身が引退を決断できる選手は一握り。20代の若者であっても、唐突に戦力外を告げられる。

 会社員とは比べものにならない収入格差のある世界。野球界もかつては「月給」が銀行振り込みではなく、手渡しだった。まだ1万円札のなかった昭和の時代。月末に球団職員が1000円札を封筒に入れて球場に足を運び、選手の名前を呼んで手渡していく。巨人では王貞治、長嶋茂雄の封筒は、机の上に置くと縦に立ったそうだ。一方で、封筒がヒラヒラと羽ばたく程の金額だった選手もいる。

 今年はCSの全日程終了翌日から、日本シリーズ終了の翌日(移動を伴うチームは翌々日)までが第2次戦力外期間に設定されている。華やかなイメージの裏で、プロの厳しさを痛感する季節でもある。(記者コラム・神田 佑)

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