初タイトル風前のともしび…広島・九里13勝目届かず 今季最多137球報われず9敗目

[ 2021年10月25日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2ー7阪神 ( 2021年10月24日    マツダ )

<広・神>7回2死三塁、降板する九里(中央)(撮影・平嶋 理子) 
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 広島・九里亜蓮投手(30)は24日の阪神戦で13勝目をつかめず、最多勝の初タイトル獲得が風前のともしびとなった。7回途中4失点(自責3)で降板。今季最多137球の熱投実らず、9敗目を喫した。現状では11月1日のヤクルトとの今季最終戦で登板を予定していても、13勝の阪神・青柳が26日の中日戦に勝てば届かない。攻撃陣も6安打2得点に終わり、阪神戦の3年ぶり勝ち越しを逃した。

 無念の4位が確定し、クライマックスシリーズ進出が消滅した翌日。張り詰めていた気持ちが緩んでしまったのか、味方の拙守にも足を引っ張られた九里は失意の中でイニング途中降板した。口調には悔しさがにじんだ。

 「先に本塁打で点を取られたし、7回も意気に感じて 0点で帰れれば良かったけど、途中で降りてしまった。受け止めて、しっかりやらないといけない」

 2回にいきなりつまずいた。連打による1死一、三塁から佐藤輝に痛恨の先制3ランを被弾。カウント1―2と追い込みながら、内懐を突くはずの140キロ直球がシュート回転して甘く入り、右翼上段まで運ばれた。

 球数は6回で120球。それでも最多勝の可能性に懸けて1―3の7回も続投した。だが、安打に味方の2失策が重なるなどして1死二、三塁とされ、糸原に中犠飛を献上。マルテに四球を与えたところで降板となった。今季最多の137球を数えていた。

 「球数は多くなったけど、粘り強く投げていたので勝てるチャンスがあれば…ね」

 佐々岡監督は、九里の7回続投をそう説明する。12勝で足踏みしたまま9敗目。現状では11月1日の今季最終ヤクルト戦に向かう予定ながら、13勝で先行する阪神・青柳が26日の中日戦に勝ってしまえば届かない。その場合は、来季に向けた若手の抜てきが考えられるが、指揮官は首を横に振って言う。

 「本来ならそういう起用があっていいんでしょうが、阪神もヤクルトも優勝争いをしている。こちらはベストを尽くさないといけない。(最多勝の可能性がなくなっても)一応は投げるでしょう」

 この日で今季の投球回は144回に到達。2年連続で規定投球回をクリアした実績は決して色あせない。九里は視線を前に向ける。

 「チャンスがあれば獲りたい。しっかりした投球ができるよう準備していきたい」

 青柳次第ではあっても、13勝で並ぶ可能性がなくなったわけではない。泣いても笑っても残る登板は1試合。有終の美を飾りたい。 (江尾 卓也)

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