日本ハム・今川 プロ初安打が超特大1号弾!緊急昇格スタメンで即大仕事

[ 2021年9月13日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム3―0ソフトバンク ( 2021年9月12日    札幌D )

2回1死二塁、左翼席に先制2ランを放った今川(撮影・高橋茂夫)
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 日本ハムの今川優馬外野手(24)が12日のソフトバンク戦で2回にプロ初本塁打となる決勝の1号2ランを放った。通算7試合、13打席目でマークしたプロ初安打が先制弾。JFE東日本からドラフト6位で入団した右の強打者は、メジャー通算502本塁打を誇るタイガースのミゲル・カブレラ内野手(38)を参考にした打撃を開眼させた。

 今川は豪快なアッパースイングが特長だ。殊勲の一発は、理想とするカブレラ打法を追求してきた成果が詰まった一発となった。クラウチングスタイルからしゃくり上げているように見えるが、ただ力任せに振るのではない。「野球は物理」というほどの理論派だ。

 2回1死二塁。日米通算148勝左腕・和田の内角直球に対し、体を鋭く回転させて左翼席上段への特大弾。道産子スラッガーは「なまら最高です!今までの野球人生で一番完璧な本塁打」と興奮を抑えきれなかった。

 4月16日に1軍初昇格も12打席連続無安打。新型コロナウイルス感染で5月1日に出場選手登録を抹消された。復帰後は2軍でスイング改造に着手。反省点はヒッチ動作(グリップを上下させる動き)が大きかったため、1軍の切れのある球に対応できなかったことだった。

 ヒッチ動作を最小限に抑え、スイング軌道をコンパクトに変更。今までは遠心力を利用して飛ばしてきたが、スイング軌道をコンパクトにしてスイングスピードを上げた。「慣性モーメントを小さく。回転半径を小さくすればバットが遠回りしなくなる。回転半径を小さくすることをテーマにやってきた」と説明する。慣性モーメントとは、物体が回転運動で動こうとする時や止まろうとする時に必要な力の量。数値が小さければ、回転しやすい動きをしている証明になる。8月にはバットのグリップに取り付けてスイング軌道を解析する器具を購入。内角低めの直球に差し込まれず、コンパクトにさばけたのはスイング改造効果だった。

 「やっとファイターズの一員になれたという実感が湧きました。野球人生から見れば小さな一歩かもしれないけど、ここから積み重ねていきたい」。プロの世界を持ち前のフルスイングで生き抜く覚悟が表れた初アーチだった。(東尾 洋樹)

 《記念球は母へ》今川は脳振とう特例措置で出場選手登録を抹消された近藤の代替選手として緊急昇格し、即先発出場。家族も観戦に訪れる中で感謝のアーチを届け「母さんが“いつ打つの”ってずっと言っていたのですぐに(記念球を)渡します」と満面の笑みを浮かべた。ファンクラブ会員歴15年目。鎌ケ谷の勇翔寮に郵送で届いた来年のファンクラブ継続案内も即手続きを済ませており「継続特典はTシャツにしました」と笑った。

 ◇ミゲル・カブレラ タイガースに所属する現役唯一の3冠王打者。ベネズエラ出身の38歳。99年にマーリンズと契約し03年にメジャーデビュー。07年オフにタ軍に移籍し、12年に大リーグ45年ぶりの3冠王を獲得した。通算502本塁打、2974安打、1796打点はいずれも現役2位。首位打者4度、本塁打王と打点王はいずれも2度。

 ◇今川 優馬(いまがわ・ゆうま)1997年(平9)1月25日生まれ、札幌市出身の24歳。東海大四(現東海大札幌)3年夏に甲子園出場。東海大北海道を経てJFE東日本に入社。1年目の19年都市対抗で若獅子賞を受賞し、初優勝に貢献した。20年ドラフト6位で日本ハム入り。今季2軍では61試合に出場して打率・310、14本塁打、46打点。1メートル77、87キロ。右投げ右打ち。

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