【スポニチ潜入 大阪発(11)】高野山・渡辺 阿部慎之助級パワー誇る「高野山のおかわり君」

[ 2021年5月25日 09:00 ]

<スポニチ潜入> ティー打撃をする高野山高校・渡辺 (撮影・平嶋 理子)
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 スポーツニッポン新聞社では、今年も企画「スポニチ潜入」でアマチュア野球の有力選手(高校、大学、社会人)を記事と動画で紹介します。大阪本社では「スポニチ潜入 大阪発」と題し、エリア内の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube公式「スポニチチャンネル」において取り上げます。第11回は「高野山のおかわり君」渡辺大和内野手(17)です。

 世界遺産の霊場・高野山からプロを目指す長距離砲がいる。高校通算19本塁打(取材時)の渡辺大和だ。1メートル77、94キロと西武・中村剛也級の恵まれた体と、100キロスクワット10回を毎日3セットというトレーニングで鍛えられた筋力を武器に、夏の甲子園、そしてプロ入りを狙っている。

 その打力を強くアピールしたのが2年夏の和歌山県独自大会2回戦・向陽戦で放った左翼への特大弾。06年11月の秋季近畿大会で大阪桐蔭2年の中田翔(日本ハム)が放った到達距離188・41メートルという伝説弾を受けて、紀三井寺球場に設けられた防球ネット上段を直撃する当たりだった。名前はスカウトの間で広まり、複数の球団が練習も視察した。

 「プロ入りは意識しています。行くと決めて、レベルアップを目指している。真っすぐを待って、逃げる球はライナーで打ち返し、甘く入ってきたら引っ張る。そのイメージ通りに打てるように取り組んでいます」

 指導する伊藤周作監督(69)は、NPB通算406本塁打の阿部慎之助(現巨人2軍監督)を中大監督として1年時から2年間育てたキャリアを持つ。「パワーだけなら阿部に負けてない。柔らかさも持っている。上のレベルでやれる能力はある」と主将に指名し、夏に照準を合わせている。

 集中力を高める手段をふたつ持っている。ひとつは毎朝の日課となった般若心経を唱えること。そして試合前には関西を中心にラッパーとして活動する兄・大河さん(24)の曲を聞くことだ。「プロになれたら、兄に登場曲を作ってもらいたい」と目を輝かせた。

 毎週月曜だけコンビニなどへの外出が許される合宿生活。「でも目標があるから苦しくない。イチローさんの本を読んで、練習への取り組み方や打席での心構えを参考にしている。和歌山にはトップレベルの選手がいる。負けてはいられない」と市和歌山・小園健太―松川虎生のバッテリーとの対戦をイメージした。88年夏以来の甲子園への道を渡辺のバットが切り開く。(文=鈴木 光、動画撮影=平嶋理子)

 ◇渡辺 大和(わたなべ・やまと)2004年(平16)2月16日、和歌山県橋本市出身。西部小4年時に「西部リーグスターズ」で捕手として野球を始め、橋本中央中では「和歌山ホークス」に所属し3年時に南大阪大会で捕手としてベストナイン。高野山では1年秋から三塁手のレギュラー、2年夏の県独自大会から4番。50メートル走6秒3、遠投90メートル。1メートル77、94キロ。右投げ右打ち。

 ※高野山・渡辺選手の動画は「スポニチチャンネル」において配信中です。

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