全米に衝撃を与えたリアル二刀流 大谷翔平は日本ハム球団と栗山監督が愛を注いだ最高傑作

[ 2021年4月18日 09:00 ]

ホワイトソックス戦の初回に2号先制本塁打を放った大谷
Photo By 共同

 思わず「うわーーっ!」と声を上げてしまった。一人で自宅でスポーツをテレビ観戦していて大きな声を上げたのは、いつ以来だろう…。しばらく全身の鳥肌が止まらず、数秒後に自然と出た言葉は「かっこいい…」。43歳の記者は、まるで少年時代に戦隊もののヒーローを見ているような心境となった。

 今月4日(日本時間5日)、エンゼルス・大谷がメジャーでの「リアル二刀流」デビュー戦となったホワイトソックス戦に「2番・投手」で先発出場した。初回を無失点に抑えると、慌ただしく打撃の準備を整えネクストバッターズサークルへ。1死で入った第1打席で初球をいとも簡単に右中間席にかっ飛ばした。記者と同じように、1週間の始まりである憂鬱な月曜日の午前中からテンションが爆上がりとなった人も多かっただろう。

 記者は16年から19年まで日本ハムを担当。16、17年の2年間は大谷を近くで取材する機会に恵まれた。当時は身体的にも成長途上で、球団は慎重なプランを描きながら起用。特に頭を悩ませていたのが栗山監督だ。少しでも故障の可能性につながる行動を取った際は、心を鬼にして叱りつけた。全ては「メジャーでも通用する二刀流」を育て上げるため。日本での最後のシーズンとなった17年の9月上旬には大谷を札幌ドームの監督室に呼び「投げる日を自分で決めていい」と伝えた。後日、栗山監督は「向こう(メジャー)では自分で決めなくてはいけない局面が出てくるかもしれない。一つでも多く引き出しをつくってあげたかった」と語っている。全ては親心による無償の愛。その思いは実を結び、二刀流で世界中のファンを魅了している。

 ○○監督時代に入団した選手が「○○チルドレン」と表現され、たまたま活躍した時期が重なった選手と監督が「師弟関係」と表現されることも多いが、栗山監督と大谷は間違いなく「師弟」だ。そして入団時から両者の夢を実現させるために綿密な育成プログラムを組むなど全力でサポートした日本ハム球団は、大谷にとっていつでも温かく迎え入れてくれる「故郷」と言えるだろう。(記者コラム・山田忠範)

続きを表示

この記事のフォト

2021年4月18日のニュース