阪神・大山 W神話継続弾 自身最遅の68打席目には「焦りがなかったと言ったら、うそに」

[ 2021年4月16日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-0広島 ( 2021年4月15日    甲子園 )

<神・広>初回2死一塁、左越えに先制の2点本塁打を放つ大山(撮影・成瀬 徹)
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 体勢を崩されながらも阪神・大山は左手一本で左翼席まで運んだ。満面に浮かんだ笑みが、これまでの苦悩を物語る。待望の一発には、4番の責任感、主将としての強い思いが詰まっていた。

 「自分の中で焦りがなかったと言ったら、うそになる。みんなが助け合いながらやってくれていたので、今日は自分がと思って打席に入った。うまく打つことができて、結果的に勝利打点、決勝打になってよかった」

 初回2死一塁。フルカウントから床田の低めツーシームを拾い上げると、きれいな弧を描いて左翼席に着弾した。自身最遅の開幕から17試合、68打席目での1号2ラン。ベンチでナインから祝福されると、ホッと息を吐いた。

 この一撃で誰もが勝利を確信したのは、不敗神話にまつわるキーワードが並んだからだ。「先制」と「大山の打点」。これで先制点を挙げれば13連勝となり、大山が打点を挙げれば1分けを挟み昨年から17連勝となった。4回に佐藤輝が一発を放ったことで、初の「OSアベック弾」。新たな神話になりそうな豪華競演に周囲は早くも盛り上がるが、「チーム全員で頑張ってやっている結果」と静かに受け止めた。

 試合前練習では矢野監督から打撃指導を受けた。最近ではおなじみの光景だが、現状を確認するには欠かせない。この日は泳いで打つ時のポイントやヘッドの返し方に至るまで細かく指導され、早速結果につなげた。試合後には矢野監督から「うれしそうにベースを回っている姿も印象的でしたし、これで乗っていってくれると思う」と背中を押してもらっただけに、気持ちは一層引き締まった。

 「今日は今日で終わり。また明日はゼロから始まるので、しっかり仕事ができるように準備していきたい」

 慢心はない。比べるのは昨日の自分――。頼れる4番が、アーチ量産への号砲を高らかに鳴らした。(長谷川 凡記)

 《一発出ればチーム開幕10連勝》大山(神)が初回に先制2ラン。今季初本塁打で、チームも開幕17試合目で初の4番弾。これで今季先発4番に本塁打が出ていないのは日本ハムだけ。昨季から継続中の大山が打点を挙げた試合の連勝は、1分けを挟む17連勝に伸びた。また、チームは大山と佐藤輝の2ラン2発、4点で勝利。今季チームに本塁打が出れば無傷の開幕10連勝。これは08年の開幕9連勝を上回り、1リーグ時代の37年春、38年春に並ぶ83年ぶり3度目の球団記録となった。なお過去2度は無敗でシーズン終了している。

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