エンゼルス・大谷156キロ 左足「キックバック」で二刀流カムバック「去年より肘のなじみ方もいい」

[ 2021年2月26日 02:30 ]

ライブBPに登板した大谷(エンゼルス提供)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(26)が24日(日本時間25日)、今キャンプで初めて実戦形式で打者に投げる「ライブBP」に登板した。打者延べ4人に20球を投げ、力を入れたという最後の一球は97マイル(約156キロ)を計測。この時期としては異例の球速で、投球フォームの特徴である左足の「キックバック」も復活した。新たな握りのチェンジアップも試投。投打二刀流の完全復活へ、また一歩前進した。

 大谷は右手を打者方向へ突き出し、手首をクッと真上へ跳ね上げた。最後の20球目、直球を予告。力強く腕を振ると、フォームの特徴であるリリースで踏み込んだ左足が手前に戻る「キックバック」も復活。最速97マイル(約156キロ)を叩き出した。

 「去年より肘のなじみ方もいい。投げている感覚、そこが一番(違う)かなと。1回目にしては良かった」

 レンヒーフォ、ウォルシュの左打者相手に2打席ずつ。球速を常に測り「97(マイル)は最後の一球で少し力を入れたので」とし、それ以外も直球は94~95マイル(約151~153キロ)を計測したという。18年の右肘手術から2年ぶりに復帰登板した昨季は、投手としては2試合の登板のみ。最速97マイルで、直球の平均球速も93・8マイル(約151キロ)に落ち込んだ。メジャーでは1年目に最速101・1マイル(約163キロ)をマークし、日本では最速165キロを何度も投げた右腕。キャンプで初めて打者を相手に、投手・大谷最大の魅力であるスピードが戻りつつあることを示した。

 左膝手術で不安が消え、オフに下半身を中心に鍛えて体重102キロに増量。体重移動の沈み込みが低くなり、投げ終わりは跳びはねるように躍動感が増した。「常に効率よく投げたい。腕の通り、踏み込み、(腕を)振るタイミング。一個一個のタイミングが大事」と新フォームでの意識を解説。直球については「スピンレートや回転効率を上げたい。こすりながら投げれば手っ取り早いが、球速が出にくくなる。自分に合うリリースをすり合わせていく」と質と球速を高いレベルで合致させていく考えだ。

 変化球もスライダー、スプリットに加え、あまり投げていなかったチェンジアップも試投した。以前とは握りを変え「落ち球としてよりも、横の変化として投げたい。抜くより、逃げるように変化できるか」と投球の幅を広げるのが狙いだ。

 昨年、再び右肘を痛めた際には二刀流に懐疑的な声も出る中で「可能性があればやりたい」と投打完全復活を目指す思いを示した。最後まで明るい表情、そして97マイルという数字に、より視界は開けてきた。(テンピ・杉浦 大介通信員)

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