中畑清氏 原巨人 打倒ソフトBへ菅野残留は最高の補強

[ 2021年1月12日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】巨人にとって、原監督にとってこれほどの大補強はない。ポスティングシステムを容認した時点で、絶対いなくなっていると思っていた菅野。2桁貯金を計算できる大エースが急転、残留することになったんだからね。

 コロナ禍で大減収となった大リーグ。100%納得できるオファーがなかったというけど、菅野の中には後ろ髪を引かれるというか、日本でやり残したことがあったんじゃないかな。

 2年連続4連敗の屈辱にまみれた去年の日本シリーズ。第1戦に先発した菅野が2回、栗原に先制2ランを許し、その流れのまま4試合が終わってしまった。

 手も足も出ない完敗。なかでも第1戦から1、2、0、1と4試合で4点しか奪えなかったのは、バットマン出身の監督にとっては最大の屈辱だったと思うよ。

 編成も任されている全権監督。DeNAからFA宣言した梶谷、井納を獲っただけじゃない。大リーグ通算196本塁打のスモーク、同じく96本塁打のテームズを獲得。率より長距離を優先した補強は原監督の覚悟を感じるね。

 監督として去年、川上哲治さんの通算1066勝を抜いた。巨人歴代1位の勝利数。14年で9度のリーグ優勝と申し分ない成績を残してきた。でも、日本シリーズは2年連続4連敗。このままじゃ終われない。

 監督業の最終章に入った今季。去年は吉川、松原に1、2番を託すなど若手を育てながらセ・リーグを制したけど、日本シリーズでは歯が立たなかった。思い知らされた力の差。育てながら勝つという理想を追ってソフトバンクに勝てるチームをつくるには時間がかかる。そう判断して方向転換したんだ。

 今年ダメだったら辞めるくらいの覚悟で臨むシーズンになると思う。負けず嫌いだからね。勝ち負けはともかくソフトバンクと対等に渡り合えるチームづくりを目指す中で決まった菅野残留。最高の補強になったよ。

 「20勝と日本一」を目標に掲げた菅野。21年オフは海外FA権を取得して何の制約もなくメジャー挑戦できる。思い残すことのない結果を残して夢をかなえてほしいね。(スポニチ本紙評論家・中畑 清)

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2021年1月12日のニュース