19年オフ セ・リーグ15年ぶりFA補強「0」の全敗 実力者がパ・リーグ→パ・リーグ

[ 2020年11月28日 05:30 ]

(左から)楽天・鈴木大、ロッテ・美馬
Photo By スポニチ

 【球界の危機 広がるセパの格差 中】日本シリーズでは巨人が4連敗を喫したが、思い起こせば19年のオフもセの「全敗」だった。FA選手の補強である。

 鈴木大は宣言残留を認めていたロッテ、巨人との争奪戦を制した楽天に入団。美馬(当時楽天)も巨人と争った末にロッテ入りした。福田秀はソフトバンクに加えヤクルト、西武、楽天、中日の5球団が手を挙げたが、ロッテへ。セ球団がFA選手を一人も獲得できなかったのは、04年以来15年ぶりだ。

 美馬は得意のソフトバンクからレギュラーシーズンで10勝中5勝を挙げ、ロッテの2位進出に貢献。交渉時にロッテ側が前面にPRしたのは、古傷の肘のケアだった。福田秀に関しても、球団は「マネーゲームはしない」との方針で後れを取っているように見えたが、「最後は鳥越さんという存在が大きかった」と、かつて2軍監督と選手の間柄だった兄貴分から何度も電話をもらい、決断した。ロッテは18年に球団初の黒字化。補強費の幅も増えた。資金面は積極補強へとかじを切る上で重要ではあるが、選手の側には金銭面以外で球団を選ぶケースが増えているともいえる。

 また、昨年オフにはロッテと楽天の間で多くのトレードや移籍があったが、井口監督は同じくメジャーを経験した石井一久監督兼GMと移籍についての考え方が似ている。あるパ球団の関係者は「2人はトレードに対するマイナスの意識が少ない」と指摘した。

 FA制度が導入された93年以降、当初はセ球団への流出が相次ぎ、00年まではセ球団移籍が14人に対し、パ球団移籍は半分の7人。01~10年ごろの日本選手のメジャー移籍「バブル期」を経て、11年以降はFA戦線でもパ球団の健闘が目立つ。昨季以外での代表例は涌井(13年西武→ロッテ)、岸(16年西武→楽天)、浅村(18年西武→楽天)ら。ソフトバンクに負けじと5球団が補強し、し烈な戦いを繰り広げれば、おのずとリーグ全体の底上げにつながる。

 ストーブリーグはこれから本格化する。巻き返しに向け、オフにもセ球団の本気度が問われている。(特別取材班)=終わり=

続きを表示

この記事のフォト

2020年11月28日のニュース