これがプロやで!阪神・井上 デビュー戦は中日・大野雄に無安打2三振「自分が振る所には来ない」

[ 2020年10月15日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神0-3中日 ( 2020年10月14日    ナゴヤドーム )

<中・神(20)> 8回無死、井上は大野雄の前に空振り三振に倒れる(撮影・大森 寛明)
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 阪神のドラフト2位・井上広大外野手(19)が14日の中日戦で「7番・右翼」で先発し1軍デビューを飾った。球団の高卒新人野手がデビュー戦で先発出場するのはドラフト制以降では1968年の川藤幸三以来、52年ぶり3人目。中日・大野雄の前に2三振に一ゴロで3打席無安打に終わったが、未来の猛虎の4番に向けた第一歩を記した。試合は今季11度目の零敗を喫し3位に後退した。

 想像よりも早く未来の4番に向けスタートを切った。通算474本塁打の田淵幸一、同349本塁打の掛布雅之ら歴代の球団レジェンドですら果たせなかった新人野手の先発デビューを、井上が成し遂げた。

 「一つ一つのレベルがとても高いと感じた。日頃の練習からもっと上のレベルを目指してやっていかないといけないと感じました」

 敵地・名古屋でも大きな拍手に包まれて迎えた2回2死一塁での第1打席。大野雄に対して1ボールから迷うことなくファーストストライクを仕留めにかかり、豪快に空振りした。さらに2球続けて低めの変化球にバットは空を切った。真っすぐは1球もなし。プロ初打席は長距離打者らしい豪快な空振り三振だった。

 「自分が振るバットの所には来ない。高めのボールは1打席目の(初球に)外れたのぐらいで、それ以外は全部膝より下ぐらいのボールだった。何度も同じボールを投げられて、それを同じような空振りをしていたので、そこはもっと練習して対応できるようにしていかないといけない」

 5回1死の2打席目は1ストライクから、初めてきた、見送ればボールの低め直球に手を出し一ゴロ。8回先頭では3球三振に倒れた。結果は3打数無安打でも球界屈指の左腕との対戦で一歩を踏み出した「10・14」は大きな意義があり、井上の原点になるはずだ。

 ウエスタン・リーグでは61試合に全て4番で先発出場し、リーグトップの8本塁打、32打点を残した。昇格の一報を受けたのは前日13日の夜。「すごくびっくりしました。そこから緊張はしていますが、しっかり睡眠をとって今日に向けて体調を整えました」。節目の試合を終えた井上の心に残ったのは、試合中、何度も話し合う姿があった大山の言葉だ。「小さくならないようにと言われた。その中でどう対応していくかというのを練習で突き詰めていきたい」。リーグ本塁打争いでトップを走る和製大砲から受けた助言も大きな財産とする。

 「空振りとかの時に次の打席、次の球とかはしっかりと意識を変えてスイングしていかないと、また同じ結果になってしまう。そこはしっかりと練習からやっていきたい」

 15日の中日の予告先発は同じく左腕の松葉で、2日連続スタメンの可能性も十分にある。猛虎を背負う男の眼前には無限の可能性が広がっている。(阪井 日向)

 ◆井上 広大(いのうえ・こうた)2001年(平13)8月12日生まれ、大阪府出身の19歳。南郷小時代にソフトボールを始め、南郷中では東大阪シニアで主に捕手。履正社では1年夏からベンチ入りし、2年秋から4番。3年春夏の甲子園出場。夏は3本塁打でチームを初優勝に導いた。高校通算49本塁打。19年のドラフト2位で阪神入団。1メートル87、97キロ。右投げ右打ち。

 《先発出場は川藤以来52年ぶり3人目》阪神のドラフト2位・井上が1軍デビュー。ドラフト制以降、チーム高卒新人野手の1軍戦出場は97年の浜中治以来23年ぶり9人目。先発出場は68年川藤幸三以来52年ぶり3人目となった。この日は3打数無安打。ドラフト制以降に高卒新人のデビュー戦安打は投手を含めてもなく、打っていれば53年山本哲也と三宅秀史、58年投手の本間勝に続く記録だった。

 【阪神の主な新人野手のデビュー戦】
 ★69年 田淵 幸一 開幕戦の4月12日大洋戦(甲子園)0―1の9回1死、代打で平松に見逃し三振。
 ★72年 中村 勝広 開幕戦の4月9日、中日戦(中日)1番・二塁で第4打席の8回に左前打の4打数1安打。
 ★74年 掛布 雅之 4月7日の大洋戦(岡山)同点の9回2死一塁、代打で登場して四球。
 ★80年 岡田 彰布 4月11日の大洋戦(甲子園)5点を追う9回無死、代打で平松に見逃し三振。
 ★92年 桧山 進次郎 5月30日の巨人戦(甲子園)6番・右翼。4打数無安打も第2打席の4回、二ゴロの間に初打点。
 ★01年 赤星 憲広 開幕戦の3月30日、巨人戦(東京ドーム)14点差をつけられた9回1死で代打。條辺に三ゴロ。
 ★04年 鳥谷 敬 開幕戦の4月2日、巨人戦(東京ドーム)7番・遊撃。第4打席の8回に左前打の5打数1安打。
 ★16年 高山 俊 開幕戦の3月25日、中日戦(京セラドーム)1番・左翼。初回先頭で左前へプロ初打席初安打の4打数1安打。
 ★19年 近本 光司 開幕戦の3月29日ヤクルト戦(京セラドーム)2番・中堅で第3打席の6回、右中間へ適時三塁打の4打数1安打1打点。

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