球界の盟主・巨人が先陣を切った野手登板 原監督が投じた一石が日本球界の固定観念を変える

[ 2020年8月10日 12:38 ]

6日、8回途中からマウンドに上がった巨人・増田大(撮影・大森 寛明)
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 巨人の原監督が一石を投じた。野手・増田大の投手起用である。メジャーでは一般的になっているが、日本ではなじみが薄い。いわゆる「捨て試合」を示すことに抵抗があるからだ。しかも、常に勝利が求められる名門球団が行ったことで、アレルギー反応を示すOBや評論家もいた。最後まで諦めない「美徳」も大事だが、あくまでリーグ戦の中の1試合。120試合のトータルで勝つためには「合理的」に考えてもいいのではないか。原監督も条件がそろった上で実行に移していた。

 (1)増田大が登板したときのスコアは0―11という大差。しかも、終盤の8回1死無走者だった。この回、満塁弾を浴びるなど一挙7点を失った堀岡が1イニングを投げ切れば、増田大がマウンドに上がることはなかった。対戦した阪神に失礼という批判もあるが、それ以前に、原監督は「堀岡を投げさせることの方がはるかに(相手に)失礼」と明確な理由を明かしていた。堀岡にとっては屈辱的だが、いつか見返せばいい。

 (2)過密日程も影響している。新型コロナウイルスの感染拡大で開幕が約3カ月遅れた上に、143試合から120試合に短縮。ただでさえ、投手は思うように調整できていない。さらに連戦が続く中で投手のやりくりは厳しく、今季は先発が短い回を投げる「オープナー」や、リリーフでつなぐ「ブルペンデー」を行う球団が続出している。負けがほぼ確定した状況なら、野手の登板は「あり」だ。

 (3)野手登板への準備も抜かりなかった。原監督は過密日程を見据え、シーズン前から投手経験のある野手を調査していた。ストライクを取れることが絶対条件である。その上で、堀岡が満塁弾を浴びる前から増田大と捕手の岸田にキャッチボールをさせていた。そして、制球が安定している増田大を選んだ。

 (4)他球団を引き離し、首位に立っていることも大きい。巨人OBで元監督の堀内恒夫氏は自身のブログで今回の野手登板を「巨人軍はそんなチームじゃない」などと痛烈に批判した。巨人の大エースだっただけに「投手のプライド」が優先するのは分かる。ただ「今、首位に立ってるじゃないか。強いチームがそんなことやっちゃダメよ」と言う意見については低迷しているチームがやった方が批判を受けるだろう。勝っているから「捨て試合」と割り切り、次戦に備えることができる。

 「実績がある原監督だからできる」という声が多いのは納得できる。それでも、先陣を切るのは勇気がいる。批判を承知の上で、シーズンのトータルで勝つために合理的な方法を選択した。早くも、DeNAのラミレス監督がチャンスをうかがっている。(記者コラム・飯塚 荒太)

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