巨人・菅野 自己最少1安打で完封一番乗り!7回1死まで無安打投球「久しぶりに納得できる内容」

[ 2020年7月4日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人5―0中日 ( 2020年7月3日    東京D )

<巨・中>7回を抑え拳を握る菅野(撮影・西尾 大助)
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 巨人の菅野智之投手(30)が3日、中日 戦に先発し、2勝目を12球団一番乗りとなる今季初完封で飾った。18年CSファイナルSでノーヒットノーランを達成しているエースは、7回1死まで無安打投球。わずか1安打で今季初の2桁11三振を奪い、昨年9月に同じ快挙を成し遂げている大野雄大投手(31)との「ノーヒッター対決」を制した。チームを2連勝、今季最多の貯金6に導いた。

 先発投手を見極める指標に「初球ストライク率」がある。60%以上ならば、超一流を意味する。菅野は打者31人に対し、19人の61・3%を記録した。

 「映像、データを頭に入れて何(の球種)を張っているのか、把握した上で初球を投げる。やみくもではない」。追い込まれる前に甘い球を狙う打者に初球から厳しい球でストライクを取り、有利なカウントをつくる。7回1死まで無安打。快挙を予感させ、本人も「(意識は)あった」と言う。ビシエドに左中間二塁打を浴び「(捕手の大城に)“意識せずに大胆にいこう”と言った途端に打たれた」と笑ったが、12球団一番乗りの完封劇。今季初の2桁11三振を奪い、1安打での完封は自己最少だった。

 制球力の原点は「巨人の星みたい」と言う幼少期。主人公・星飛雄馬は自宅で直径90ミリの丸い穴に球を通して庭の木に当て、再び穴を通して手元に戻した。菅野は5歳からボールを握り、近くの公園で小さな壁目掛けて壁当てをした。球がそれれば奥の森に入る。「基礎がその壁当てでできた」と回想する。

 11勝も自己ワーストの防御率3・89だった昨季の初球ストライク率は47・0%。今季3試合では66・3%と約20%も向上させた。要因は腕から始動し、軸足に体重を乗せる新フォーム。安定した軸で立つことで、体重移動も安定して前に突っ込まない。「久しぶりに納得できる内容だった。昨年の借りを返していきたい」と言った。

 試合後リモートで行った子供のインタビューでは、スライダーの握り方を教え、制球力の秘けつは「キャッチボールで毎日精度を高めていく」と答えた。一球一球同じフォームで相手の胸に投げる。遠投でも変わらない。基本を大事にするのが真のエースだ。

 5―0で8回を終え、111球を投げていた。「(完投の)権利は自分にはない」と思ったが、ベンチで宮本投手チーフコーチに「チーム初完封をいってほしい」と背中を押された。122球。体も心も軸はぶれず、9回にこの日最速の152キロで福田を見逃し三振に斬った。「感謝もあるし、もっと少ない球数で最後まで投げたい」と理想は高い。

 次回は有観客開催の初戦となる10日のヤクルト戦(ほっと神戸)が見込まれる。「(無観客でも)テレビの前で楽しんでいる人がいる。マウンドでやるべきことは何も変わらない」。どんな時でもファンを魅了する投球をする。それが菅野智之だ。(神田 佑)

 ▼巨人原監督 自分のペースを崩すことなく投げ勝ってくれた。素晴らしい投手戦の、緊張感のあるゲームだった。

 《桑田超えた2桁K23度目》○…菅野(巨)が12球団完封一番乗りで2勝目。完封は通算18度目となり、現役では金子(日)の21度に次ぎ、松坂(西)に並ぶ2位になった。この日は被安打1で11奪三振。18年CSではノーヒットノーランを達成している菅野だが、公式戦の完封に限ると、これまでは3度記録した被安打2が最少となっており、1安打以下の完封は初めてだ。また、2桁奪三振は昨年5月1日の中日戦(10奪三振)以来通算23度目。巨人で1試合2桁奪三振は槙原寛己の35度が最多記録だが、桑田真澄の22度を抜く単独4位に浮上した。

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