プロ野球の開幕延期で見える日本とメジャーの違い

[ 2020年3月15日 11:56 ]

無観客試合で行われたプロ野球のオープン戦
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 14日、東京都内に雪が降った。今年初めて雪を見ることができてよかったと思いつつ、寒さとともに憂鬱(ゆううつ)な気分も増した。新型コロナウイルスの感染拡大だ。その影響で世界中のスポーツが相次いで中止や延期を余儀なくされ、東京五輪の開催も厳しい状況になってきた。スポーツ紙も明るい話題をなかなか提供できない日々が続いている。

 プロ野球は9日に開幕延期を発表。メジャーリーグも続き、12日(日本時間13日)に最低2週間の延期を発表した。オープン戦も即中止。延期決定翌日には、早々とキャンプの中断を発表し、選手にはキャンプ地残留、帰宅、本拠地での調整という3つの選択肢を提示した。スピーディーかつ、選手の自主性に任せるスタイルだ。

 一方、日本は当初から決められた日程を消化している。無観客でオープン戦を続けて15日に終えるが、その後も「続行」だ。レギュラーシーズン開幕を予定していた5日後の20日頃から、当初組まれていたカードで練習試合をこなす。選手の負担、移動などを考慮し、開催球場や1カードの試合数などは当該球団同士の話し合いで変更できるようにしているが、それでも移動のリスクを伴うことに変わりはない。特にパ・リーグは日本ハムが札幌、ソフトバンクが福岡に本拠地を置く。楽天の立花陽三球団社長は「選手の体調、移動リスクを考えるのが第一」と警報を鳴らしたが、ごもっともな指摘である。簡単に練習試合を組めるわけではないが、2軍のイースタン、ウエスタン・リーグのように「東西」に分かれた方が移動のリスクは軽減された。

 日米では「調整過程」での違いもある。日本は沖縄や宮崎でキャンプを終えた後、オープン戦で全国各地を転戦し、そのまま開幕を迎える。一方、国土の広い米国では、キャンプでアリゾナ州とフロリダ州に15球団ずつが集まり、その2カ所でオープン戦も行う。延期になった開幕前もその2カ所で実戦をこなしていくだろう。日本も全国各地を転戦するのではなく、沖縄や宮崎のキャンプ地に再び集まり、定期的に練習試合を行えば感染リスクも抑えられる。

 とは言っても、もう遅い。ただでさえ、選手はキャンプ中から実戦を続け、オープン戦を消化。さらに、いつ開幕するかも分からず、先が見えない中で練習試合を延々続けていくことになる。これでは心身ともに疲れ果て、長距離移動も重なって、いつコロナウイルスに感染してもおかしくない。(記者コラム・飯塚 荒太)

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2020年3月15日のニュース