マー君 センバツ中止に救済訴え「前例ない処置があってもいいんじゃないか」

[ 2020年3月14日 02:30 ]

6フィート(約183センチ)以上離れたメディアから取材を受ける田中(撮影・柳原 直之)
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 ヤンキースの田中将大投手(31)が12日(日本時間13日)、キャンプ地の米フロリダ州タンパで取材に応じ、今月19日に開幕予定だった選抜高校野球大会が中止になったことについて自身の考えを語った。

 「ちゃんと書いて下さいよ。ちゃんと答えますから」と話し始め、しばしの沈黙後、慎重に言葉を選んだ。

 「前例のない決定をしたわけじゃないですか。でも、前例のない状況だから、それに関してはどうにか開催する方向で、無観客でも最初やろうと言っていた。けど、やっぱりなんだろうなあ…いろいろな世の中の人たちの言葉だったり、“なんで高校野球だけやるんだ”とか、“高校野球だけ特別か”とかいう声は多少は影響したと思います。それに関してはしようがないと思いますよ、前例のないことですから」

 駒大苫小牧(南北海道)時代に57年ぶりの夏2連覇を達成し、3年夏も準優勝。多感な高校時代に大観衆の甲子園でプレーする楽しさ、充実感を知る田中だからこそ胸の内で思うところがあった。「前例のない状況だからこそ、どういう方法が良いか分からないですけど、何か前例のない処置があってもいいんじゃないかなとも思ったりしています。夏の大会もいろいろと意見が出ていて。夏の大会で優遇するとかそういうことではないと思いますけど、可能性としては全部排除してはいけないと思う。いろいろなことの議論が必要。こういう状況だからこそ、今回に限っては特別なことがあってもいいんじゃないかなと個人的には思っています」と語った。

 苦い思い出がある。3年春のセンバツ開幕直前、卒業式後に卒業生の部員による飲酒、喫煙による補導が発覚し、大会を出場辞退した。池田(徳島)以来23年ぶりとなる史上5校目の夏春連覇を目指した夢は、聖地に立つことなくついえた。「“なんで俺ら何もしていないのに、俺らが出られへんねん”とか、いろいろなその辺の葛藤を僕も経験していますから。全く気持ちが分からないわけではないので。今回、不祥事とは別ですけど、大会全体がダメになっているわけなんで、何か(救済措置が)あってもいいんかなという風に現時点では思っています」。状況は違えど、不可避な事態に追い込まれた境遇は同じ。やり切れない気持ち、もどかしい気持ちは田中なりに想像できた。

 田中は今大会に出場予定だった高校球児にエールを求められると、こう答えた。「その子たちの気持ちは完全に分かってあげられない。同じ立場を経験をしたことがないですから。でも、(センバツに)出られなかったという大きな、大きなところでいうと、夏があるから夏に全てぶつけようという気持ちで僕らはやってきました」。その夏、田中が早実・斎藤(現日本ハム)らと激闘を繰り広げ、社会現象を巻き起こしたのはもはや説明不要。田中は最後まで神妙な表情で高校球児の心境を思いやっていた。(タンパ・柳原 直之)

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2020年3月14日のニュース