楽天・銀次が教えてくれた病院に子どもを慰問する本当の目的

[ 2020年1月31日 16:25 ]

子供たちと絵馬にメッセージを書く楽天・銀次
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 【君島圭介のスポーツと人間】3人を子育て中のパパである。子どもを抱く手も慣れたものだ。楽天・銀次が1月29日、仙台市内の2つの施設を慰問した。子どもが入院中の家族を支援する「ドナルド・マクドナルド・ハウス」と宮城県立こども病院で、13年から7年連続の慰問だった。

 「今年1年またやってやるぞという気持ちになる。来るたびに本当に頑張らないといけないと思う」

 当初は昨年末に予定していたが、院内にインフルエンザが蔓延したことで中止になった。それでも銀次は「何が何でも来ようと思っていた」と、決めていた。そして、沖縄での自主トレから戻ってから春季キャンプに出発するわずかな時間を使って実現させた。

 こういうイベントでは「子どもたちが笑顔に…」と報じられるが、実際にその場に立ち会えば誰が一番喜んでいるかは一目瞭然である。その親たちだ。

 銀次は「子どもたちのためでもあるし、親のためにも来ている。自分も子どもが生まれて親の気持ちが分かるようになった」と、慰問を始めたきっかけを振り返った。

 親たちは自分自身が銀次に会えてうれしいのもあるだろうが、それ以上に子どもたちが有名なプロ野球選手と触れ合う姿に笑顔を浮かべるのだ。親とはそういうものだ。

 私自身も小学2年生のときに半年間、仙台市内の病院に入院を経験した。手術やリハビリのつらさはあったが、実は嫌な思い出ではない。小児病棟で同年代の子どもたちとの生活は楽しくもあった。ただ、自宅のある隣県から車や電車で毎週日曜日の面会日に会いに来てくれた、子を思う親の苦労は、自分が親になった今だから痛感する。

 親の喜怒哀楽は子どもにダイレクトに伝わる。普通に子育てするだけでも重労働なのだ。まして闘病中の子どもを持つ親のケアは重要だ。慰問に訪れた銀次は、親や施設のスタッフとの記念写真撮影やサインにも快く応じていた。親を癒(いや)やすことが、子どもの笑顔を増やすことにつながると、銀次はよく知っている。

 「子どもたちだけでなく、親にも元気になってほしい。優勝してここに帰ってきたい」

 その暖かい気持ちをバットに込めて、今季も銀次は打席に立ち続ける。(専門委員)

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2020年1月31日のニュース