「沢村賞」19年ぶり該当者なし 巨人山口&日本ハム有原最終候補入りも…「レベルは下げたくない」

[ 2019年10月22日 05:30 ]

沢村賞選考会会議を行う(右から)山田久志委員、堀内恒夫委員長、平松政次委員、村田兆治委員、北別府学委員(撮影・久冨木 修) 
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 「沢村賞」の選考委員会が21日、都内ホテルで開かれ、今年は19年ぶりに「該当者なし」となった。5人の委員による選考では、日本ハム・有原航平投手(27)と巨人・山口俊投手(32)の2人が最終候補に挙がったが、先発・完投型の本格派投手を表彰するという同賞の趣旨を重視。該当者なしの理由には、完投数とイニング数の不足を指摘する声が強かった。

 選びたいけど、選べなかった。選考委員5人の偽らざる本音だろう。約1時間。例年になく長く、深く意見を交わした末の結論が2000年以来の「該当者なし」だった。

 「(選考が)非常にもめました。かんかんがくがく意見を出し合い、今年は“該当者なし”に決まりました」

 会見の冒頭、選考委員長の堀内氏はそう説明した。最終的に4項目クリアしている日本ハム・有原、巨人・山口の2人に絞られた選考。平松氏は「ダブル受賞も考えた」という。しかし、受賞に至るには物足りない2項目があった。それが完投数とイニング数だ。完投は広島・大瀬良の6完投が両リーグ最多。基準の10完投以上は一人もいない。200回が基準のイニング数も同様で、ソフトバンク・千賀の180回1/3が最多。堀内氏は「有原も山口もよく頑張った。ただ、これ以上レベルは下げたくない。完投なしでいいとしたら、沢村さんのお名前に傷をつけてしまう」と続けた。完投数は有原1、山口0だった。

 投手の分業制が確立された今、この2項目の達成は難しい。それは選考委員全員の一致した見解。堀内氏は先発投手は100球めどで中4日のメジャー方式の影響とも指摘したが、昨年は巨人・菅野が全7項目クリアで受賞している。村田氏は6日に他界した大投手、故金田正一氏が14年連続20勝したことを引き合いに「偉大な投手がプロ野球を支えてきた」と強調した。

 沢村賞の規定第1条(趣旨)には「その年の先発・完投型の本格派投手のうち、最も優れた投手を表彰する」とある。時代の流れの中、基準の見直しも問われながら、来年以降へ期待を込めた「該当者なし」だった。(秋村 誠人)

 ▼沢村賞 プロ野球史上初の無安打無得点試合を達成した伝説の大投手、沢村栄治(巨人)を記念して1947年(昭22)に制定。シーズンで最も優れた先発完投型の投手に贈られる賞で、2リーグ分立の50年からはセ・リーグの所属投手だけが選考対象となり、89年から両リーグに拡大された。選考基準は(1)15勝以上(2)150奪三振以上(3)10以上の完投試合数(4)防御率2.50以下(5)200投球回以上(6)登板25試合以上(7)6割以上の勝率、の7項目。勝利への貢献度、連勝連敗、プロとしての品格なども選考に加味される。受賞者には金杯と副賞300万円が贈られる。

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