鳥谷 CS進出決定の瞬間はショートで 矢野監督「最後に打つだけじゃなくて」

[ 2019年10月1日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神3―0中日 ( 2019年9月30日    甲子園 )

ゲームセットでナインとタッチを交わす鳥谷(中央)(撮影・後藤 正志)
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 セレモニーが終わっても鳥谷コールは鳴り止まない。「せっかく呼んでもらったのでね」。ファンの思いに応えるべく阪神・鳥谷は一度は下がったベンチから再び姿を現すと、帽子を脱いで頭を下げた。CS進出決定でお祭り騒ぎの甲子園をさらに湧かせた。

 「ショートからの景色も見れましたし、良かったです。人生において、一番の歓声だったんじゃないかと」

 3点リードの7回先頭で代打出場したが、右飛。出塁はできなかったが、送られた拍手にヘルメットを脱いで応えた。直後の守備では7月28日の巨人戦(東京ドーム)以来、甲子園では同25日DeNA戦以来となる遊撃の守備位置へ。「最後に打つだけじゃなくて、ショートで守る姿をファンの人は見たいと思ったと思うし。トリ自身も守りたいと思ったと思う」。矢野監督に送り出された定位置で、CS進出決定の瞬間を迎えた。

 鳥谷を中心に結束して臨んだ一戦だった。試合前練習ではチーム関係者全員が、背中に背番号1をあしらった黒のオリジナルTシャツを着てグラウンド入り。ビジョンには「阪神16年 鳥さん ありがとう!」の文字が入った画像が映し出され、それを背に記念撮影した。聞かされていなかった粋な演出に「引退するわけじゃないからなんとも言えないけど…。ありがたいですね」と感謝。糸原、梅野を中心に選手たちが企画したサプライズだった。

 若手野手は鳥谷に合わせて膝付近までストッキングを見せる「オールドスタイル」で練習開始。球場に流れたのは鳥谷が歴代使用した登場曲のメドレーで、放送担当者が自発的に行ったサプライズだった。全ての人が「鳥谷とCSへ」と胸に刻んでいた一日。結束力が奇跡を起こした。

 試合後、バックスクリーンのビジョンには「今までも、これからも、ずっと『君がヒーローだ。鳥谷敬』」と映し出された。次なる舞台はCSファーストステージ。手に汗握る熱戦でも「阪神・鳥谷」を見られる。その上まで勝ち進めば、この甲子園でまた勇姿を見ることができる。
(巻木 周平)

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2019年10月1日のニュース