日本ハム金子が明かしたオリ岸田“秘話”

[ 2019年9月28日 11:00 ]

オリックス時代の金子(右)と岸田(2012年撮影)
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 柄にもなく、センチメンタルな気分で毎日が過ぎていく。オリックスは3年ぶりの最下位が確定。でも、やっぱり“岸田ロス”ではないか、と感じる。ここ最近、チーム内でも岸田引退の話は必ず出てくる。後輩がいかに後ろ姿を見てきたか、改めて実感する。それならば、と絶対に話を聞きたい選手がいたので、札幌で取材を申し込んだら、二つ返事でOKをもらった。長年、ともにオリックスを支えてきた金子千尋だ。

 「僕ね、岸田さんとキャッチボールするの嫌だったんですよ。落ちてこない、ってこういうことだなと思いました」

 話は直球の球筋。投球の基本となるキャッチボールでは、特に顕著に出る。きれいにボールに縦回転がかかれば、揚力でボールは落ちずに真っすぐ進むと言われる。どんな投手でも目指す「フォーシーム」と呼ばれる直球だ。

 「直球でも、トラックマンで見ると若干シュート回転は入るんです。でも、岸田さんのは純粋な縦回転だと思う。だから、ストレートで空振りが取れるんだと思います。多少スピードがなくても、空振り取れるじゃないですか」。どこか、うらやましそうな金子は、こう続ける。「球の威力だと平野(佳寿)くんでしょうけど、キャッチボールでどちらがすごいか、と言われると、岸田さんじゃないですか。だから、たまにキャッチボールの相手するの、嫌でした。張り合ってもかなわないし、張り合うと自分が崩れるんです」。金子が、こうも言うのだから、そのすごさが伝わってくる。そして笑いながら、もう一つ“秘話”を明かしてくれた。

 「チェンジアップ、貸しているんですけど、まだ返してもらっていなくて、いつ返してくれるんですかね」

 ん? チェンジアップを貸している? どういう意味か、理解に困っていると解説してくれた。

 「2007年ぐらいだったと思いますけど、岸田さんが落ちる球を探していたときに、僕のチェンジアップを投げ始めたんですよ」

 岸田のチェンジアップは落差の大きな特長ある球だ。実はこれ、当時の金子が投げていたチェンジアップだという。その後、金子はフォークを習得したためチェンジアップを改良。現在のブレーキがかかった落ちない球筋の“魔球”と呼ばれる球に変わった。同じ球種でもあまりに違うので、そんな経緯に気がつかなかったが、2人がまだ入団2、3年目ぐらいの思い出話。金子は懐かしそうに振り返った。

 引退会見で、岸田は過去に朴賛浩に“お前が打たれたら仕方ない”と言われたことを振り返った。「僕もそう思います。それだけの練習をしていましたから。球場の外でも練習していたのを知っているし。正直、やり過ぎじゃないの、って思うくらい、体のこととかしっかりする人だった。ケガとかあったとはいえ、その岸田さんが引退を決断するんだったら、納得はできます」。少し寂しそうだった。

 実は金子はかつてクローザーを経験している。岸田が先発で10勝を達成した2009年、思い出に残る試合があった。それは岸田の9勝目がかかった10月1日の日本ハム戦だ。ここで負けたら10勝到達は不可能という試合で、金子は2回無失点で白星を守った。金子がクローザーとして、2回を投げたのはこの試合だけ。「勝たないと10勝にいかないというプレッシャーがあって、すごくよく覚えています」。金子の成長に岸田は欠かせなかった。逆もそうだろう。そんなエピソードに触れ、少しうれしかった。(オリックス担当 鶴崎唯史)

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