中日 大野雄 ノーヒットノーラン!ソフトB千賀に続き 8度目の月間2人達成

[ 2019年9月15日 05:30 ]

セ・リーグ   中日3―0阪神 ( 2019年9月14日    ナゴヤD )

ノーヒットノーランを達成して大野奨(左)と抱き合って喜ぶ大野雄(撮影・大森 寛明)
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 中日の大野雄大投手(30)が14日、ナゴヤドームで行われた阪神23回戦でノーヒットノーランを達成した。史上81人目(通算92度目)で、球団では13年に山井大介投手(41)が記録して以来の快挙。昨季未勝利に終わった左腕が偉業で復活を印象付け、4年ぶりの2桁勝利に王手をかけた。

 最後の力を振り絞った。9回2死。大野雄はこの日最速タイとなる151キロ直球をど真ん中に投げ込み、近本を三直に打ち取った。マウンドで両手を突き上げ、子どものようにぴょんぴょんとジャンプ。捕手の大野奨とがっつり抱き合った。

 「満員のナゴヤドームのお客さんの前で達成できて最高です!信じられない気分。喜び過ぎかもしれないけど一生に一回、達成できるかどうかなので喜びを表現しました」

 6回1死から京田の悪送球で初めての走者を背負った。完全投球は途切れたが「無理に打者と勝負しなくてよくなった。四球が出せる」と切り替えた。

 ノーヒットノーランが脳裏によぎると、6日に達成したソフトバンク・千賀の言葉を思い出した。「『お客さんのため息を聞きたくないから頑張った』というのを聞いて、俺はため息つかせそうだなと思った」と自虐的に振り返ったが9回、マウンドに上がるとスタンドから「大野」の声。「あのコールがあったから頑張ろうとと思った」と最終回に150キロ台を連発。集中力は最後まで途切れず、歓声を沸き起こした。

 3年連続2桁勝利の経験を持つ左腕が昨季はまさかの未勝利。そこから復活を遂げたのは「自分自身を弱いと認められたから」と精神面の成長を挙げる。昨季は試合序盤に失点すると「敗戦後のコメントを考えていた」とネガティブ思考に陥り、投球にも悪影響を及ぼした。様々な人に相談する中で昨秋、塚本洋コンディショニングコーチに「プロ野球選手は実現性が高い。そう思うとそうなるよ」と助言を受けた。「試合に勝つ、抑える、ヒーローインタビューに答えるとポジティブに思うようになった」と思考を転換。「去年、中途半端に勝っていたらそのままだった。どん底過ぎたから」と屈辱を力に変えた。

 チームの連敗を止め、4年ぶりの2桁勝利にも王手をかけた。「残り11試合、1つも落とせない。今日一日は喜びに浸って、また明日から頑張っていきたい」。偉業は逆転でのCS進出を目指すチームにとって、最高のカンフル剤となった。(徳原 麗奈)

 ≪大野雄アラカルト≫
 ☆4年秋は登板なしでドラフト1位 佛教大時代から最速151キロ左腕として注目されたが、左肩の棘下筋(きょくかきん)炎で最後のリーグ戦は登板できず。中日はリハビリで出遅れることも想定した上で、1位指名した。

 ☆落合元監督の“遺産” デビュー戦は1年目の11年10月14日の巨人戦。連覇へマジック2で迎えた大一番に、すでに退団が決まっていた当時の落合監督はあえて新人を先発させた。4回7失点KOも、指揮官は「いい勉強になっただろう」と目先の1勝よりも大野雄の将来を優先した。

 ☆侍への思い 12年11月のキューバ戦で初の侍ジャパン入り。佛教大4年時には大学日本代表候補に選ばれながら世界大学選手権直前で落選し、涙を流したほど日の丸への思いは強い。13年の台湾遠征、15年プレミア12でも代表入り。

○…大野雄(中)が6日ロッテ戦の千賀(ソ)に次ぎ史上81人目で92度目のノーヒットノーランを達成した。中日では13年6月28日DeNA戦の山井以来12人目。球団別の達成者数としては、巨人の12人(16度)に並ぶ最多人数になった。また、今月は2人目の達成となったが、月間2人以上がノーヒットノーランは、85年6月4日に郭泰源(西)、9日に田中幸雄(日)が記録して以来34年ぶり8度目で9月は初だ。

 ○…この日は6回に捕手が加藤から大野奨に交代。2人の捕手と組んでノーヒットノーランは、68年5月16日大洋戦の城之内邦雄(巨)が森昌彦、槌田誠と達成して以来史上6人目。中日では64年8月18日巨人戦で中山義朗が小川敏明、高木時夫と組んで記録して以来55年ぶり2人目。

 ○…大野雄は昨季6試合登板で0勝3敗。前年未勝利からの達成は43年別所昭(南海)、66年佐々木吉郎(大洋)、71年藤本和宏(広)に続く48年ぶり4人目で中日では初めて。

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