【惟任貴信 研球】「逆転の虎」の底力を

[ 2019年8月18日 08:30 ]

セ・リーグ   阪神2―4巨人 ( 2019年8月17日    東京D )

4番手で登板した島本(撮影・坂田 高浩)
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 0―1で迎えた7回、先発・西の後を受けた能見が精彩を欠き、3点を失った。直後の8回に北條、福留の2者連続本塁打で2点を返したことを考えれば、結果的に痛恨の失点となった。だが、これまでの中継ぎ投手陣の働きを思うと、能見を責めることはできない。

 今季の阪神は「逆転の虎」だ。改めてチーム成績を調べてみると、実はこの日までの50勝のうち6割近い29勝までが、逆転によるものだということに気づいた。そして、この「逆転勝利29」は、現時点で12球団トップの数字だ。もちろん、どの指揮官にとっても理想の勝ち方は先行逃げ切りだろうが、毎度そういうわけにいかない。そこで矢野監督が掲げたのが、後半勝負で勝ちきるゲームプランだった。それが、今季の逆転勝利の多さにつながっているのかもしれない。その試合運びを可能としてきた最大の要素こそが、中継ぎ投手陣の奮闘なのだ。球団関係者も力強く言い切った。

 「ウチの逆転勝利の数が多いのは、中継ぎ投手陣の踏ん張りに尽きるでしょう。藤川、ジョンソン、岩崎の勝ちパターンに加えて、他球団なら勝ちパターンに入れる力を持つ守屋、島本、能見らをビハインドでも投入できる強みがあります。劣勢であっても、勝ちパターン以外の投手が粘ることで相手に終盤の追加点を簡単に与えません。だから逆転勝利が多くなっているんだと思います」

 裏付ける数字もある。実は阪神は中継ぎ投手陣の防御率も12球団トップの2・90を誇っている。同ワーストはオリックスの4・43。比較すると、その鉄壁ぶりは鮮明だ。6回までにリードを奪えれば、岩崎(シーズン中盤までドリス)、ジョンソン、藤川が「勝利の方程式」として相手打線の前に仁王立ちする。そして、たとえ劣勢であっても、守屋、島本、能見らを投入し、逃げ切りを図る相手に追いすがることができる。中継ぎ投手陣の総勝利数は目下24。その結果が「逆転勝利29」に反映されている。

 かつて高校野球界で常勝を誇ったのは、粘り強く逆境を跳ね返す「逆転のPL」だった。昨季、セ・リーグ3連覇を成し遂げたのは、12球団トップの逆転勝利38を積み重ねた「逆転の広島」だった。巨人に連敗を喫し、借金は今季ワーストタイの6に膨らむも、まだ31試合を残している。鉄壁の中継ぎ陣も健在だ。借金完済、上位浮上の可能性は十分に残っている。劣勢の今こそ、「逆転の虎」の底力が見たい。

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