阪神4点先行も逆転負け 糸井は負傷 矢野監督「一生懸命やっただけでは俺らは済まされへん」

[ 2019年8月10日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神5―11広島 ( 2019年8月9日    京セラD )

2回2死一、三塁、負傷した足を気にする糸井(左)を心配そうに見つめる矢野監督(撮影・北條 貴史)
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 阪神は9日の広島戦に4―0からの逆転で敗れ、過去7度のクライマックス・シリーズ(CS)進出では前例のない3位からの6・5差ゲームまで後退した。1週間前に完封された大瀬良から一挙4点を奪った2回に糸井嘉男外野手(38)が二盗を試みた際に左足首付近を痛めて交代。主軸の離脱から大暗転し、今季ワーストに並ぶ借金6で自力優勝の可能性も3度目の消滅を迎えた。

 夏の遠征中に戻ってきた“地元”での3連戦。満員だった観客席に終盤は空席が目立った。ファンを喜ばせる――と言い続けてきた矢野監督にとっては胸の痛い光景だった。敗戦後すぐ会見場に姿を見せなかったのは、選手を集めて緊急ミーティングを開いていたからだ。

 「一生懸命やっただけでは俺らは済まされへんと思う。手を抜いているやつも誰もおらへんと思う。でも、俺らは見に来てくれるファンがいて、プロとアマチュアっていろんなことが違うと思うんだけど、やっぱり、結果で示すっていうのがプロにはあると思う。今すぐできることは胸張って前向いて、今日の悔しさを、どう返していくかってことしかできない」

 2回を<4―0>で終えた時点で、<5―11>の結末を誰か予想できただろう。しかも、1週間前に完封された大瀬良に4連打を浴びせるなど一挙4得点の痛快な攻略劇を演じながら大暗転した。

 分岐点は糸井の離脱だ。2回2死満塁からの右前適時打で3、4点目を叩き出した後、二盗を試みて滑り込んだ際に左足首を負傷。一度はセーフだった判定まで広島側のリクエストで覆り、破竹の攻撃が終わった。糸井は再びグラウンドに姿を見せることなく交代し、試合途中に大阪市内の病院へ。「左足首の関節炎」と診断され、10日以降の出場は状態を見て判断することになった。

 猛虎で唯一の3割打者が消えた3回以降は一転して、わずか2安打。その間に逆転され、最後は大きく突き放された。今季ワーストに並ぶ借金6へ戻り、自力優勝の可能性が消えるのは3度目だ。

 いや、現実的な目標と言える3位の背中も今季最大の6・5ゲーム差まで遠のいた。過去のCS出場は6差からの逆転が最大で、前例のない逆襲を成し遂げるしかない。「残り38試合まだある。そういう気持ちで戦っていくしかできない。そうやって頑張っていきます」。デッドラインを越えても矢野監督は強い思いで諦めない姿勢を強調した。(山本 浩之)

 ○…現在4位の阪神が3位・広島に敗戦。CS進出条件のAクラス(3位以内)までのゲーム差が今季最大の6・5になった。セ・リーグでCSが始まった07年以降、阪神が過去進出した7シーズンで、途中3位チームにつけられた最大ゲーム差は07年6月26日から29日にかけての6ゲーム差。6・5ゲーム差以上からの逆転進出は経験がない。なお、8月以降のBクラス(4位以下)も07年8月7日時点の4位が最も遅く、これ以降のBクラスからの逆転進出も過去にはない。

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2019年8月10日のニュース