日本ハム・吉田輝とダルビッシュ 同じ6月デビューを飾った2人の明暗を分けたポイントは

[ 2019年6月30日 09:00 ]

<日・広>ウイニングボールを手に栗山監督と写真に収まる吉田輝(撮影・高橋茂夫)
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 平たく言えば「柔」と「剛」。対照的な印象だった。同じ6月の広島戦。05年6月15日のダルビッシュ(現カブス)と今月12日の吉田輝、それぞれのプロデビュー戦だ。

 記者は05年当時の日本ハム担当。ダルビッシュは1軍昇格前には使っていなかったシュートを「ぶっつけ本番」で駆使し、広島打線のバットの芯を外した。一方で吉田輝は、持ち味の直球でとことん押し、打球をことごとく詰まらせた。

 ドラフト制以降の高卒新人ではそのダルビッシュ以来、球団3人目となる初登板初先発からの2戦2勝を23日の中日戦で狙った吉田輝。だが、切れを欠いた直球を痛打された。3回を5失点でプロ初黒星。2人の明暗を分けた最大のポイントは「引き出し」の多さだろう。ダルビッシュは2戦目の05年6月27日西武戦では、初登板では使わなかったフォークをアクセントにした。

 だからといって、「引き出し」と「伸びしろ」はイコールではない。線の細かったダルビッシュは年々、ウエートトレーニングを本格化。絶対的なエースへと進化を遂げた。吉田輝は今後、直球を磨きつつ、変化球の精度を身に付けて「引き出し」を増やせばいい。

 敗戦後に「もう一個、大きな進化ができれば」と語った吉田輝。次回登板は未定だが、前半戦終了後の7月11日のフレッシュ球宴で登板する可能性は高い。ダルビッシュは14年前のその舞台で2回を1安打無失点、2奪三振と好投し優秀選手賞を獲得した。中日・根尾ら同期のライバルを相手に繰り広げる真剣勝負も、進化を計るバロメーターとなりそうだ。(記者コラム・大林 幹雄)

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2019年6月30日のニュース