王者・広島に激震…石井&河田コーチが退団 CS前に異例の発表

[ 2017年10月6日 05:31 ]

今季限りでの退団を発表した広島の石井コーチ(右)と河田コーチ
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 33年ぶりの日本一を目指す赤ヘルに激震が走った。広島は5日、石井琢朗打撃コーチ(47)と河田雄祐外野守備走塁コーチ(49)の今季限りでの退団を発表した。打撃と走塁で高い攻撃力を支え、リーグ連覇の陰の功労者だった。18日から始まるクライマックス・シリーズ(CS)のファイナルステージを約2週間後に控え、緒方監督、選手らは有終の形で送り出すべく決意を新たにした。

 打撃と走塁の両輪で広島の得点力を引き上げた連覇の功労者2人が同時に去ることが決まった。石井打撃コーチと河田外野守備走塁コーチの突然の退団発表。広島が揺れた。鈴木清明球団本部長はCS前の発表について「彼らの来年(の仕事)のこともあるし、うわさが立ったりする恐れある。CSが始まる前に集中したいので」と説明。まずはCS突破に向けて一丸で突き進む姿勢を強調した。

 両コーチとも広島では単身生活を続けていて、東京に残す家族との時間を優先したい意向から球団に辞任を申し入れて了承された。全体練習を再開した前日4日に選手らにも報告。2人とも今後については未定とした一方、東京を拠点にすることから状況次第では来季以降、敵コーチとして対戦する可能性も出てきた。

 石井コーチは守備走塁部門を経て16年から打撃部門を担当。簡単に凡退しない粘り強さや進塁打の意識を高めるなど「逆転の広島」を築いた。逆転勝利は15年の22度から16年45度、今季41度。2年連続で両リーグ最多を記録した。

 16年に外野守備走塁コーチに就任し、三塁走塁コーチを務めてきた河田コーチは積極走塁を推進。今季はリーグ最多112盗塁を記録し、盗塁成功率・737は00年以降で球団最高だった。

 石井コーチは「最後の2年間は本当に選手にいい思いをさせてもらった」、河田コーチも「指導したことを選手が実行、継続してくれて最高の結果になった」と感謝の思いを明かした。もちろん、まだ2017年は終わっていない。日本一を花道に――。丸は「今シーズンまでしか一緒に戦うことができないので日本一になれるよう頑張りたい」と誓い、緒方監督も「いい形で最後を締めくくれるように選手も戦っていくと思う」と思いを強くした。

 ▼松田元(はじめ)オーナー 家庭の事情ということは理解している。仕方ないと思う。彼らが残したスピリッツ、技術を伝承していきたい。

 ◆石井 琢朗(いしい・たくろう)1970年(昭45)8月25日、栃木県生まれの47歳。足利工から88年ドラフト外で大洋(現DeNA)に入団。09年に広島に移籍した。通算成績は2413試合で打率.282、102本塁打、670打点、358盗塁。通算2432安打は歴代11位。主なタイトルは盗塁王4度、最多安打2度。選手兼任を含め12年から広島コーチ。1メートル74、78キロ。右投げ左打ち。

 ◆河田 雄祐(かわだ・ゆうすけ)1967年(昭42)12月22日、東京都生まれの49歳。帝京では3年春のセンバツで準優勝。85年ドラフト3位で広島に入団。95年オフにトレードで西武に移籍した。通算成績は574試合で打率.226、6本塁打、50打点、53盗塁。03〜15年に西武で外野守備走塁コーチなどを務め、16年から広島コーチ。1メートル75、75キロ。右投げ左打ち。

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