“生粋の仙台っ子”岸 生涯楽天宣言「終えるつもりでいる」

[ 2016年11月19日 05:30 ]

星野球団副会長(右)の接近にドッキリした表情の岸

 西武からフリーエージェント(FA)宣言した岸孝之投手(31)が楽天入団を正式表明し、コボスタ宮城に隣接するイーグルスドームで星野仙一球団副会長(69)、立花陽三球団社長(45)とともに入団会見に臨んだ。年俸は4年契約で出来高を含め最大20億円とみられ、背番号は「11」に決定。仙台生まれの103勝右腕は「生涯仙台」を宣言。来季は自己最多15勝を目標に掲げ、地元への恩返しとして、東北に歓喜の日本一をもたらすことを宣言した。

 ただの里帰りではない。故郷に戻ってきた理由は「恩返し」。濃紺のスーツに身を包んだ岸は強い覚悟を口にした。

 「チームに貢献して優勝しないと、僕自身(楽天に)来た意味がないと思っている。東北、仙台を盛り上げたい」

 仙台出身の岸は名取北高、東北学院大と地元で育った生粋の仙台っ子だ。古巣・西武への愛着もあったが「野球を始めたのは仙台。プロに入るまでたくさんの方々に支えられてここまでこられた。成長した姿を見せたい、地元に恩返ししたい気持ちがあった」と移籍を決断。だからこそ、野球人生を「(仙台で)終えるつもりでいる」と生涯楽天宣言も飛び出した。

 10年間で103勝を積み上げた右腕は新天地での目標を「常にキャリアハイを目指し、15勝したいと毎年思っている」と15勝に設定した。決して大きなことを言う男ではないが、具体的な数字を口にし、自らにプレッシャーをかけた。

 被災地への思いも語った。11年東日本大震災で東北は甚大な被害を受けた。「何でも力になることがあればなりたい」と支援を約束。その上で「野球で喜んで楽しんでもらうことが一番。しっかりプレーすることが大事」と言う。田中(ヤンキース)、則本の2本柱で日本一に輝いた13年のようにもう一度、東北を元気にすることが使命だ。

 また、来季から対戦する古巣・西武には「あの打線をずっと見てきたので楽しみだけど怖い」としながらも「投げるからには抑えたい」と力を込めた。「(西武OBの松井)稼頭央さんと一緒にプレーできる」と新たな喜びもある。10年間育ててくれた感謝の気持ちも忘れない。23日に開催されるファン感謝イベントは「西武側が許してくれるなら、西武ファンに感謝の気持ちを持って出たい」と参加を希望した。

 31歳の岸は先発陣で最年長となる。「僕が投げて勝つことで皆さんに笑顔になってほしい。楽天の勝利のためにこれから頑張ります」。故郷に錦を飾るための舞台は整った。 (徳原 麗奈)

 ≪出身地域の球団にFA移籍し活躍した選手≫

 ★和田一浩(07年西武→中日)岐阜県出身。10年のリーグ優勝に貢献しセ最年長の38歳でMVP受賞。15年に通算2000安打達成。

 ★内川聖一(10年横浜→ソフトバンク)大分県出身。移籍1年目の11年に史上2人目の両リーグ首位打者となりMVP、日本一に輝く。

 ★涌井秀章(13年西武→ロッテ)千葉県出身。救援から先発に復帰し、昨季は15勝で自身3度目の最多勝を獲得。

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