「生きる道ですから」竜の“鯉キラー”八木 17年へ復活見据える

[ 2016年11月19日 09:20 ]

中日の“鯉キラー”こと八木

 広島の独走に終わった2016年のセ・リーグ。19年ぶり最下位に沈んだ中日は、対広島戦を25試合で7勝17敗1分けと大きく負け越した。勝率・292、83得点で失点は151。特にマツダスタジアムは12試合で2勝10敗に終わった“鬼門”となった。特定の苦手カードをつくったことが、低迷の要因の一つに挙げられると思う。

 そんな中、この人がいたらなあと思ったファンの人も多いのではないだろうか。“鯉キラー”と呼ばれる八木智哉投手(33)だ。15年は14試合で4勝6敗。そのうちナゴヤドームの広島戦で4勝を挙げ、防御率は1・13と相性抜群だった。あるカープの選手がテレビ番組で「見るだけで嫌」と言っていた言葉が印象に残っていた。

 しかし、今季は春季キャンプ中に発症した左肘痛で出遅れ、1軍では8月26日の1試合のみ。11日の契約更改でも今季推定年俸2000万円から減額制限(25%)いっぱいの500万円減の1500万円でサインした。

 「また契約してくれること、野球ができることが嬉しい。またユニホームが着られる」。減俸にも笑顔を浮かべたのにはわけがある。八木は14年オフにオリックスを戦力外になり、トライアウトを経て中日に入団した苦労人。だからこそ、その言葉には実感がこもっていたように感じた。

 今季、唯一の登板はもちろん、広島戦(ナゴヤドーム)だった。勝敗こそつかなかったが、6回3安打1失点。「ワンチャンス。崖っぷちの気持ちで投げた」と振り返る。秘めたる思いを後日、明かしたが、無理もない。事前に、その内容が来季の契約を左右する可能性があるという話を聞いていたからだ。言葉通り“ワンチャンス”をものにし、契約を勝ち取ったことになる。

 「来年も広島に当ててもらえることが多いと思うのでオフにデータを入れてしっかりやりたい」

 先日発表された2017年度の日程で、広島との最初の対戦は4月4日からの本拠地開幕カード。伝え聞くと「頑張ります」と意欲を見せた。昨オフは肩を休ませた後、一気にギアチェンジしたことから左肘痛を発症。その教訓を生かし、今年はキャッチボールを続け、来春キャンプに備えるという。「生きる道ですから」と“鯉キラー”を自負する左腕。今季の借りを返すべく、17年はチームともども、広島をきりきり舞いさせてほしい。(中日担当・細川 真里)

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2016年11月19日のニュース