阪神 来秋ドラ1筆頭候補に早実・清宮 既に担当スカウト密着マーク

[ 2016年11月19日 06:00 ]

早実の清宮

 阪神が、来年のドラフト1位の筆頭候補として早実・清宮幸太郎内野手(2年)をリストアップしていることが18日、分かった。指名すれば昨年の高山、今年の大山に続いて3年連続の野手1位指名となるが、阪神は中長期的なチーム強化策として「生え抜きクリーンアップ構想」を掲げ、その候補となる清宮に白羽の矢を立てた。来春センバツ出場を決定的としている清宮に対し、すでに担当スカウトが密着マークを開始している。

 来年のことを言えば鬼が笑うと言うが、言いたくもなる。毎年のように目玉候補が出現する投手に対し、打者のスター候補は希少。清宮がドラフト解禁イヤーを迎える来年は、その当たり年だ。85年のPL学園・清原和博、92年の星稜・松井秀喜、07年の大阪桐蔭・中田翔…。およそ10年前後に一人の割合で出現する「怪物」に匹敵する逸材の指名を、みすみす見逃す手はない。阪神が、来年のドラフト1位の筆頭候補に清宮をリストアップしたことが判明した。

 1メートル84、97キロ。その堂々たる体格が生み出すパワーに、超高校級の柔軟なバットさばきを兼ね備える。東京北砂リトル時代の12年には主砲として世界大会で優勝。早実でも1年春から公式戦に出場し、1年夏の甲子園では4試合19打数9安打2本塁打8打点と暴れ回った。そして主将として臨んだ今秋は秋季東京大会優勝、明治神宮大会準優勝の原動力となり、来春センバツ出場を決定的とした。2年秋までに積み上げた高校通算本塁打は76本。実力とスター性、そして輝かしい経歴を持ち合わせる超高校級スラッガーに対し、球団関係者の言葉も熱を帯びる。

 「清宮君はもちろん、1位候補に入ってくるでしょう。3年連続で野手の指名になっても問題はないと考えています。それだけの逸材ですから」

 清宮は、阪神の中長期的チーム強化策に合致する存在だ。金本監督の要望により、阪神は昨年の高山に続いて今年も大山を1位指名した。2年連続で捕手以外の野手を1位指名するのは、高校生と大学・社会人に分かれた05~07年の分離ドラフトを除く49度目の通常ドラフトでは史上初のことだった。さらに3年連続も辞さないという。それには明確な狙いがある。別の球団関係者は言う。

 「今ウチの球団には生え抜きのレギュラー格の選手が少ない。高山が1年目から頭角を現して今年は大山を獲得した。それでも生え抜きでクリーンアップを組むにはもう一人、野手が必要。その候補が清宮君です」

 これぞ、猛虎が青写真を描く「生え抜きクリーンアップ構想」だ。高山は1年目から33試合で3番に座って適性を示し、現時点で来季の3番候補の筆頭。そして今秋ドラフト1位・大山は大学4年春のリーグ戦でシーズン8本塁打の連盟記録を叩き出し、大学日本代表でも4番を務めた将来のスラッガー候補だ。ここに清宮が加われば、青写真が現実となる日がグッと近くなる。当たり外れの大きい助っ人やFA補強に頼るのではなく、自前の戦力を鍛え上げるのがチーム強化の理想。そのために清宮が必要だ。

 ▼阪神のクリーンアップ事情 近年は外国人選手やFA補強選手が名を連ねることが多く、生え抜き選手だけで組まれることはほとんどない。今季は9月30日巨人戦に「高山―原口―中谷」の組み合わせで1試合だけあった。開幕戦に限れば、97年の「新庄―桧山―八木」が最後になる。74年は巧打者の藤田平、長打力のある田淵幸一、ベテラン遠井吾郎で組むことが多く、81~83年には左打者の4番・掛布雅之の前後を、ともにドラフト1位入団の右打者、佐野仙好と岡田彰布で固めるパターンが見られた。

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