9回ノーサイン重盗 二走・福田に2つの根拠あり

[ 2016年10月14日 05:30 ]

パ・リーグ クライマックスシリーズ ( 2016年10月13日    札幌D )

<日・ソ>9回1死一、二塁、重盗を決める福田
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 パ・リーグのCSファイナルS第2戦は、ソフトバンクが日本ハムに6―4で逆転勝ちして初白星を挙げ、対戦成績1勝2敗とした。3―4の9回に放った奇襲。1死一、二塁から二塁走者・福田秀平外野手(27)を起点にノーサインの重盗に成功し、逆転を呼び込んだ。決勝打は前日までポストシーズンで安打がなかった柳田悠岐外野手(28)。勢いの出る1勝だ。

 今シリーズの流れを変えるビッグプレーだった。二塁走者の福田には、重盗を成功させる2つの根拠があった。

 首の動きと、クイックをせず左足を高く上げるフォーム――。

 マウンドには日本ハムの守護神・マーティン。その2球目だった。セットポジションに入る。二塁走者を見てから、打者方向に首が動く。そして、もう一度、走者を見る。打者に目線が動いたと同時に、福田がスタートを切った。15年に年またぎの参考記録ながら32回連続盗塁成功のプロ野球記録をつくったスペシャリストは「日本ハムの中継ぎは全員(映像で)チェックした」と、事前にフォームのクセを調べ尽くしていた。

 「(工藤)監督にはいつでもいっていいと言われていた。セーフになってよかった」。一塁走者の中村晃も、福田の動きを見てスタート。ノーサインとは思えない会心の重盗が、本多、柳田の連打による逆転ショーの導火線になった。

 一般的に三盗が決まりやすい状況は、左投手と右打者の場面。投手は二塁走者の動きが見えにくく、捕手は三塁に送球する際に打者が邪魔になるからだ。右投手のマーティンに、打者は左の本多。セオリーを度外視した策だったが、直前に決めた二盗に伏線があった。

 9回1死から代打で起用された福田は死球で出塁。続く中村晃への初球はクイックだった。捕手・大野が「打者集中でいこう」と声をかける。ここで、変化が生まれた。「2球目に少し、足を上げた(クイックをやめた)。これなら勝負できると思った」と福田。観察眼を生かし、3球目にノーサインで走った。

 マーティンは5月4日のソフトバンク戦(札幌ドーム)で2球連続でボークを犯すなど、元々、セットには不安があった。さらに、左足首痛による離脱から戻ったばかりだ。「1カ月半ぶりぐらいの実戦で(走者を背負った)セットで不安もあった。(重盗も)頭にはあったけどやられてしまって悔しい」と肩を落とすマーティン。工藤監督は「福田君の能力があればね。9回1死を取られ、負ければ終わり。何とかするんだとの気持ちが上回った」と賛辞を贈った。

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2016年10月14日のニュース