高山　金本監督に直訴！骨折の右手「ほぼ１００％」

ペッパーをおこなう高山

阪神新人合同自主トレ

　阪神の新人合同自主トレが８日、西宮市の鳴尾浜球場でスタートした。ドラフト１位・高山俊外野手（２２＝明大）は右手有鉤（ゆうこう）骨骨折からのリハビリ中だが、視察に訪れた金本知憲監督（４７）には「（患部の状態は）ほぼ１００％です」と猛烈アピール。春季キャンプの１軍スタートは回復次第だが、はやる気持ちが直訴という行動に表れた。

　右手の状態は完調とは言えない。それでも金本監督を前にすると、野球選手としての本能が勝手に反応した。横一列に並んだ新人６選手の中で、真っ先に右手の状態を問われた高山は気がついたら全開をアピールしていた。

　「本人はもう『ほぼ１００％でバッティングできる』ということだった」とやり取りの内容を明かした同監督は大卒新人選手の１軍スタートを示唆している。しかし高山は右手有鉤（ゆうこう）骨骨折からの回復に励んでいる最中だ。完治を最優先させて２軍キャンプからスタート…。万全な態勢で沖縄へ移動する選択肢も当然に考えられるが、１年目から今季の定位置確保をめざす勝負根性が、異例の指揮官に“直訴”するという行動となった。

　「グラウンドに来ていただいて、僕も含めた新人選手に『頑張れ』という言葉をいただけたことが、本当にすごくやってやるという気持ちが強くなった」

　東京六大学リーグで１３１安打をマークし、通算安打記録を塗り替えた屈指の安打製造機から、ホームランバッターへ―。指揮官から直々に指令を受けている背番号９はかねて「監督に言われたように成長していくことが、一番の恩返しになる」と“転向”にも並々ならぬ意気込みを示す。１軍本隊に交じって一日でも早く本格チャレンジをしたいのが本音だろう。

　金本監督は急かすつもりはない。「（１軍スタートは）今からミーティングで相談しながら。他の選手とのバランスもあるし。本人は『大丈夫』と言っているけど、そりゃあ『どうや？』と聞けば、言うから選手は。『無理です』と言う選手はいない。そこら辺は僕らも考慮しながら。そんなにあせる必要もないし」。ドラフト抽選でみずからの手で引き当てた将来性を、楽しみに待つつもりでもいる。

　そんな気遣いにも「自分の中で自分のやりたいという気持ちだけでやって良いことではない。僕なりにも、できるなというところよりも一歩抑えて進めているつもり。そうやって監督に言っていただけることはすごくうれしいことです」と素直に笑顔を浮かべる。

　焦りと気概の日々の中、「やってやるぞという気持ちが１日１日強くなっています」。心の中だけは、真っすぐに突っ走っている。（久林　幸平）