石井一久氏解説 マエケン成功の3つのポイント

[ 2016年1月9日 07:15 ]

ドジャースに入団が決まり、入団会見で18番のユニホームに袖を通し、満面の笑みを見せる前田健

 ドジャースの先輩でもある本紙評論家の石井一久氏(42)が、前田健のメジャーでの活躍を占った。自身もポスティングシステムで02年にド軍に入団し、在籍3年間で36勝をマーク。自らの経験から成功のポイントを3つ挙げた。

 (1)中4日慣れるべし
 シーズンを通して安定した成績を残すには登板間の調整が凄く大切になる。日本ではブルペンに入るのが一般的だが、メジャーでは「疲れた時は投げない」という選択肢も必要。あるいは、平地でのキャッチボールで、投げない不安をいかに取り除けるか。中4日は調整というより、体の回復に充てる期間という認識だ。

 とはいえ、常に中4日で投げるわけではない。移動日をうまく挟めば中5日も多い。その点では、日本人の母を持つデーブ・ロバーツが監督なのは心強い。僕は一緒にプレーしたが、日本人の心も持っているので、必ずサポートをしてくれるはずだ。

 (2)捕手との意思疎通
 自分の投球スタイルをキャンプの早い段階で捕手に知ってもらうことが大事。前田健の武器はスライダーだが、それに限らず、日本人投手の変化球の精度は高い。そのため捕手も頼りがちになる。しかし、そればかりを多投しては持ち味にはならない。通訳を介して、しっかり意思表示はするべきだ。

 (3)“西海岸”特徴学べ
 ナ・リーグ西地区の球団は特徴的な球場が多い。ドジャースタジアムは投手有利の球場だが、デーゲームは乾燥しているので意外に打球が飛ぶ。ジャイアンツのAT&Tパークは右中間が極端に広い変則球場で、風も強い。ロッキーズのクアーズ・フィールドは1600メートルの高地にあり、変化球の感覚にズレが生じる。その試合だけでなく、次の登板で平地に戻った時にも影響が出る。球場へのアジャストも成功への鍵となる。

 ドジャースはメジャーで最初にプレーするには最高の球団だと思う。家族が安心して生活できるのは、野球にもプラスになる。メジャー移籍にあたり、いろいろな人がアドバイスをくれると思うが、僕の経験で言えば、実際に投げてみてのフィーリングが一番大事。早い段階でその感覚を研ぎ澄ますことだ。 

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2016年1月9日のニュース