侍J小久保監督 選手選考から問われる手腕 17年WBCでリベンジへ

[ 2015年11月22日 06:35 ]

<日本・メキシコ>銅メダルを胸に悔しそうな表情の小久保監督(右)

「プレミア12」3位決定戦 日本11―1メキシコ

(11月21日 東京D)
 意地の銅メダル!侍ジャパンは21日、3位決定戦でメキシコを11―1の7回コールドゲームで下し、3位となった。山田哲人内野手(23)が2打席連続本塁打を放つなど、5本塁打の大勝。小久保裕紀監督(44)は初代王者を逃した事実を重く受け止めた上で、世界一奪回の場となる17年3月の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での巻き返しを選手とともに誓い合った。

 3位で大会を終えた小久保監督の言葉が選手サロンに響いた。日の丸を背負いながら優勝に導けなかった将としての責任。2日の招集から20日間、寝食をともに戦った選手、スタッフへの感謝の思いも込め、解団式ともいえる最後のミーティングで、こう口を開いた。

 「このチームは1敗しかしていない。ただそれは非常に重たい1敗だった。私の人生でも、一番重たい1敗を喫した。この経験を皆さんは財産にしてほしい。17年WBCでリベンジしよう!」

 大会通しては7勝1敗。初代王者となった韓国(6勝2敗)を上回り、勝率では12チーム中トップだ。しかし、その1敗で日本中の期待がしぼんだ。準決勝・韓国戦での屈辱の9回大逆転負け。指揮官が「すべて私の責任」と話した継投ミスは、世論の批判も浴びた。

 それでも目標を逃した選手は、変わらず勝利に向かった。筒香が、平田が、点差が開いても、相手の隙を突いて二塁盗塁を試みた。5本塁打11得点で今大会初のコールド勝ち。「切り替えるのが大変だったと思うが、本来持っている力を出してくれた。感謝したい」。試合中は何度もベンチを見渡した。選手の戦う姿、心の強さを目に焼き付けているようだった。

 会見でも笑顔はない。「世界一になれなかった悔しい思いでいっぱい。多くの方々の期待を感じたが応えられず残念です」。小久保監督の契約は17年のWBCまで。課題については「3位の監督なので、あれこれ言うのは失礼です」と口を結んだ。勝てば称えられるが、負ければ批判を一身に受ける。この「1敗」の借りは、17年のWBCでしか返せない。

 WBCは3月開催。11月開催の今回とは違う。「(今回は)シーズン中の成績を見て選手を選ぶことができて、イメージはしやすかったが、(WBCでは)ひと冬越して、選手も早めにつくらなければいけない」。球数制限のあるWBCでは、今回招集しなかった中継ぎ投手などの人選、そして大リーガーをどうチームに加えるかなど、選考はより繊細になる。今大会は日本の統一球と同じ、ミズノ社製のボールだったが、WBCでは大リーグ公式球と同じローリングス社製で、その適応力も加味しなければならない。来年は3月、11月に国際試合が組まれるが、投手継投を含めた采配の引き出しをどう増やしていくか。指揮官にとっても、WBCまでの1年半を無駄にはできない。

 選手は口々に「このメンバーでまた集まろう」と話したという。リベンジへの思いは全員の心に刻まれた。 (倉橋 憲史)

 ▼メキシコ、マイク・ブリト監督 日本が数段上だったと認めなければならない。非常にいい投球をされ、安打が出なかった。できる限りのことはした。若い選手がハングリーに戦ったからここまで来られた。

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