【侍ジャパンの誤算2】起用の幅狭めたロースター制の形骸化、球団側の「条件」

[ 2015年11月22日 07:35 ]

プエルトリコ戦でベンチで試合を見つめる中村剛(右から2人目)

 今年9月10日、プレミア12の1次登録メンバー45人が発表され、同時にその選手たちが常設化された侍ジャパンのロースターとして登録された。常に日本代表の肩書を背負う立場になった。

 だが、ソフトバンクの柳田、内川が大会直前に辞退した時に、代わりに入ったのは同じソフトバンクの中村晃、今宮だった。関係者は言う。「大会直前で変更可能だったのは、現実的に日本シリーズを戦うソフトバンクとヤクルトの選手だけだった」。45人のロースターの中から広く選考できず、選択肢は限定された。結果、外野手4人、内野手8人とバランスを欠いた。準々決勝、準決勝で右太腿痛で先発から外れた中村剛(西武)に代わり、外野手登録の4人全員がDHの筒香を含め先発出場。交代選手の起用の幅も狭まった。

 すでにレギュラーシーズンで今季全日程を終えた球団の選手は、来季に向けて個々のテーマに取り組み始める。ある球団首脳は「3月は開幕直前だし、11月は来季へテーマを持って取り組む時期。28人に入っていないのに準備は無理」と語る。

 選出された選手の起用法も、複数球団からは先発投手に「間隔を空けて球数も考慮してほしい」との要望があった。球数制限のない大会で、100球以上を投じた先発投手はおらず、救援陣も2日連続登板はなかった。球団の意向を尊重した上である程度、登板試合を固定するしかなかった。

 ただ、球団にも言い分はある。主力選手の派遣に際し故障には敏感だ。選手も球団トレーナーのほか、個人トレーナーを抱える選手が多い。そのすべてを代表に帯同することは経費的にもできない。持病など選手の個人情報も球団としては開示はできない。球団が派遣に「条件」をつけるのは無理もないし、中村剛のように故障者は特に無理な起用はできない。

 小久保監督に采配に自由を与えるためにも12球団と代表側で問題を直視し、互いに歩み寄りが必要だ。そのしわ寄せは確実に現場に来る。 (特別取材班)

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