“8回の男”中日・浅尾「長かった」 今季初登板で魂の15球

[ 2014年6月7日 06:48 ]

<中・楽>今季初登板で1イニングを3者凡退に抑えた浅尾

交流戦 中日5-1楽天

(6月6日 ナゴヤD)
 「ピッチャー・浅尾」の名前がコールされると、ナゴヤドームに今季一番と言っていい大歓声が巻き起こった。中日ファンはこの時を待っていた。5―1の8回。右肘痛から復活した11年のMVP右腕が帰ってきた。

 「長かった。歓声はうれしかったし、この2年間の悔しい思いもあった。そういう気持ちも含めて、力んじゃいました」

 昨年9月25日の広島戦(ナゴヤドーム)以来の1軍登板。先頭の西田を遊ゴロに打ち取ると、15球で3者凡退に打ち取った。最速は146キロ。全盛期の姿ではまだない。いい当たりもあり「指のかかりは納得いかない」と内容には不満顔だったが、マウンドに立ったことに意味があった。

 首脳陣も、復帰初登板から浅尾の持ち場である「8回」に起用した。「何点差でもあそこで行かせるつもりだった。そういう場面で投げる投手」と森ヘッドコーチ。3―1の7回に2点を追加し、結果的に4点リードとなったが、浅尾は「2点差の時に行くと決めてくれたのが、うれしかった」と全力投球で応えた。

 昨季も右肩痛で出遅れ、1軍初登板は7月12日。昨年より1カ月以上早く戻って来られたのは苦い経験があるからだ。「去年は焦って、逆に遅くなった。同じことはできないと思った」。責任感が人一倍強い男が投げたい気持ちを抑え、リハビリに専念。2軍戦も8試合こなし、真っ黒に日焼けした顔で戻って来た。

 7試合ぶりに先発マスクをかぶった谷繁兼任監督は「まだ浅尾はこんなもんじゃない」と今後に期待した。「8回=浅尾」の形ができたことは、首位を走る交流戦の優勝への強烈な追い風となる。

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