菅野 祖父に「感謝」の117球 6歳で顔面にボールぶつけられ…

[ 2014年6月7日 05:54 ]

<巨・西>7回1死二、三塁、渡辺直を三振に打ち取りほえる菅野

交流戦 巨人4-3西武

(6月6日 東京D)
 巨人・菅野の頬を大粒の涙が伝った。貢氏が倒れてからの約1カ月。「つらかったですね。試合が終わった後に、必ずお見舞いに…。とにかく良くなってもらおうと…。(この日の投球では)褒めてくれないと思う。(でも、きょうは)それでいいと思う」。ウイニングボールを手に通った病院。思い出すと何度も言葉に詰まった。

 「最も影響を受けた野球人。おじいちゃんですけど、野球人として尊敬していた。感謝の気持ちでいっぱい。(祖父がいなければ)ここに自分はいなかったと思う」

 野球の神様がくれた登板だった。家族葬を終えたこの日の先発。出棺まで見届けると東京ドームに向かった。8回8安打3失点。勝ちはつかなかったが、負けもしなかった。運命に導かれたマウンドで役目を全うした。

 「きょうは少しわがままをさせてもらって、いろんなことを思い出しながら投げた」。祖父の自宅の庭で行った初めてのキャッチボール。痛みを教えるためにその初球を顔面にぶつけられた当時6歳の菅野は、1球で泣きながら帰宅した。それでも数日後に再び祖父の自宅を訪れると、庭にプレートを埋め込んでマウンドをつくってくれた。そんな思い出と感謝を込めた117球だった。

 厳しかった祖父だが「孫に厳しくできるおじいちゃんはなかなかいない」と知人に言われたこともある。最後に話したのは開幕2日前の3月26日。原監督や両親とともに食事をした。「もうおまえに言うことはないよ」。野球人として、祖父に認められた瞬間だった。

 「天国で見守ってくれる。これからが本当の勝負。5年、10年、15年先まで活躍して、いい報告をしたい」。最後は笑顔で締めくくった。

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