月間MVP獲得!好調ヤクルト打線を支える雄平の波乱万丈野球人生

[ 2014年6月7日 13:03 ]

5月の月間MVPを獲得した雄平

 ヤクルト打線が好調だ。5月31日のソフトバンク戦では、3回までに11得点を挙げるなど猛打爆発。実は今季のヤクルト、6月3日のオリックス戦で完封負けするまで、12球団で唯一、開幕から全ての試合で得点を続けていた。チーム打率.286は12球団トップの数字で、他球団を大きく引き離す291得点を記録している。

 そんな「セ界の火“ヤク”庫」の一端を担っているのが、今季でプロ入り12年目、野手転向5年目を迎えた雄平だ。5月28日には10号ソロを放ち、自身初となる2ケタ本塁打をマーク。5月の月間打率.364(リーグ2位)、そして、長打率とOPS(出塁率+長打率)はリーグ1位で、月間MVPを獲得。1軍登板したことがある選手が打者部門で月間MVPを獲得したのは仁村徹(元中日ほか)以来、2人目の快挙だ。

 12年前の2002(平成14)年ドラフト1巡目でヤクルトに入団した当時の高校生No.1左腕は、壮絶な野球人生を経て、今まさに花開こうとしている。

◎制球難に泣いた投手時代

 東北高では2年春に甲子園出場。MAX150キロ超のストレートと高校通算36本塁打を引っ提げてプロ入りした高井雄平。当時から打者としても有望視されていた雄平は、自身の判断で投手としてプロの道を歩み始めた。

 1年目から5勝を挙げ、順風満帆のプロ生活を過ごすと思われた。しかし、2年目以降の勝ち星は1年目の数字を超えることはなく、2008、2009年は1軍からお呼びがかかることはほとんどなかった。

 不調の原因は制球難だ。「プロに入って驚いたのがストライクゾーンです」と話す雄平は、高校時代と比べて、極端に狭く感じるようになったプロのストライクゾーンに戸惑い続けた。制球難を克服するために何度もフォーム改造に着手するも、余計に狂った投球感覚は簡単には元に戻らず、最終的には得意だったスライダーも、思うように曲がらなくなってしまったという。

◎死にもの狂いの野手転向

 そんな雄平に転機が訪れたのは、2009(平成21)年オフのフェニックスリーグだった。猿渡寛茂2軍監督(当時)から、「打者の気持ちを感じてみないか?」と打席に立つことを勧められ、野手を体験。7年間の投手生活を「やれることは全てやり尽くした」という雄平は、その時点で迷いなく野手転向を決断。2010(平成22)年シーズンは新たな気持ちでスタートした。

 しかし、7年間のブランクは想像以上に大きく、「ど真ん中を普通に振っているはずなのに当たらない」と、打席での感覚のズレに戸惑いを隠せなかったという。東北高校の2学年下で、野球部時代は同部屋で過ごしたダルビッシュ有(レンジャーズ)は、高校時代のスゴさを知る雄平に対して、ツイッターで「絶対打つと思います!」と感想を寄せたり、実際に、当時「打っては嶋重宣(元広島ほか)以上と」評価され、細かい指導を受けなくても、センスで結果を残していたのだが……。そう簡単にはいかなかった。

 「とにかく(バット)を振りまくりました」と当時を振り返る雄平は、素振りとマシン打撃を繰り返した。試合前の早出ノックは当たり前。ウエートトレーニングで野手としての身体づくりを始めるなど、文字通りゼロからのスタートから、無我夢中で練習に明け暮れた雄平。その甲斐あって、2軍で98試合に出場。打率.283、4本塁打、35打点、9盗塁と、及第点といえる結果を残した。

◎手応えを掴んだ途端の大ケガ

 翌年には登録名を「雄平」に変更し、2軍で打率.330をマーク。そして野手転向3年目には、ついに開幕1軍入りを果たす。開幕第2戦の巨人戦、代打で登場した雄平は、野手転向後、1軍で初ヒットを放った。その後は1軍の壁に苦しむも、シーズン終盤には1番・センターに定着。1軍への足がかりを掴んだシーズンとなった。

 そして、満を持して迎えた2013(平成25)年シーズン。開幕第3戦目の阪神戦で、藤浪晋太郎から野手転向後初本塁打を放つなど、スタメンに定着しつつあった雄平に悲劇が襲う。4月17日の中日戦、ジャンピングキャッチを試みた後、着地した際の衝撃で負傷。検査の結果、右膝前十字靱帯断裂の大ケガを負ってしまったのだ。勝負をかけようと意気込んでいたところでのケガ。ショックは大きかっただろう。

 しかし、手術から地道なリハビリを経て、復活した雄平。月間MVPという形でやっと1つ報われたところだ。相変わらずの強肩ぶりに、ケガをしても衰えぬ脚力、そしてこの打棒。今年の6月で30歳を迎えるが、プレーはまだ若い。壮絶な野球人生を乗り越え、新しい働き場で花を咲かせようとしている雄平は、応援せずにはいられない選手だ。(『週刊野球太郎』編集部)

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