マー君4連勝 イチロー「うまくいかないこと前提で組み立てている」

[ 2014年5月5日 05:30 ]

<ヤンキース・レイズ>初回を終えジョンソン(右)とタッチを交わす田中

ア・リーグ ヤンキース9―3レイズ

(5月3日 ニューヨーク)
 ヤンキースの田中将大投手(25)が3日(日本時間4日)、レイズ戦で7回を8安打3失点。開幕から4連勝を飾り、メジャー1年目の先発の日本投手としては12年のダルビッシュ有投手(27=レンジャーズ)に並んだ。登板全6試合で先発投手を評価する指標のクオリティースタート(6回以上、自責点3以下)を続け、レギュラーシーズンでは楽天時代の12年8月から32連勝。粘りの投球でチームの連敗を3で止め1日で首位奪回に導いた。

 試合後、田中の代名詞である修正能力を読み解くヒントを示したのは、イチローだった。この日も含めて登板6試合中4試合でスタメン出場し、バックから投球を見守った感想をこう語った。

 「ゲームをつくってくれる。うまくいかないことを前提として、いろんなことを組み立てているという感じに見える。しんどそうだな、と見えても、(最終的には)形にする」。打者は3割打っても7割が失敗。投手は逆で「うまくいく確率が高い」(イチロー)が、田中は良くない時を常に想定しているから修正できる、というのだ。

 2回までに43球を要し、ジェニングズにソロを浴びるなど2失点。「きょうはもう、何もいい球がなかった」と振り返るほど調子が悪かった。前日はナイターで延長14回を戦い、救援陣をフル回転させて迎えたデーゲーム。先発が早期降板するわけにはいかない。まい夫人が見守る中で「腹をくくるしかない。ストライクゾーンに投げる」と修正へカジを切った。

 その決意が宝刀スプリットの軌道に表れた。「チェンジアップみたいにスーッと行く感じで切れがなかった」ほどの不調でもストライクゾーンで勝負し、打ち損じを誘った。ワンバウンドさせたスプリットは2球。5四死球を与え、同球種のワンバウンドが10球もあった前回4月27日のエンゼルス戦とは対照的だ。

 メジャー移籍後最多の113球を投げ、無四球で7回3失点。最も少ない5奪三振だったが、我慢の投球が打線の逆転劇を呼び込み、開幕4連勝だ。2回にデヘススの打球を左足首に受けて倒れ込んでも、ベンチから飛び出したトレーナーに「全然大丈夫」と制して続投し「これから痛くなると思います」と苦笑いした。

 ラリー・ロスチャイルド投手コーチは「自分をよく知っているし、自分自身にうそをつかない」と評する。登板間のブルペン後に報道陣から感触を聞かれても「普通です」などの答えに終始。多くを語らない。理由は「いくらブルペンでできたと言っても、試合でできなければ意味がない」と試合で結果を出すことだけに集中しているからだ。

 日米32連勝。不敗神話が続く結果にも「負けてもおかしくない投球。本当に周りの方々のおかげです」と感謝した。初めてレイズ戦に投げ、最も厳しいと言われるア・リーグ東地区で全4球団と対戦。「一番かは分からないが、日本と比べるならもちろん難しい。結果を見て分かる通り」。24勝無敗の昨季年間で6本だった本塁打は、この日の2本で既に7本を許している。ハイレベルなメジャーの世界を実感しつつ、先発の役割は必ず果たす。

 ▼ヤンキース・マキャン(田中をリードし)先発の軸としての働きをしてくれている。25歳だとは信じ難い。いろんな引き出しがあるから、ベストの状態ではなくても相手を抑えられる。

 ≪最多は02年石井の6連勝≫日本投手のメジャーデビューからの4連勝は04年の高津(救援)、05年藪(同)、12年のダルビッシュに並ぶ2位タイ。最多は02年石井の6連勝。

 ≪歴代5位≫田中はこの日5三振を奪い、メジャーデビューから計6試合で通算51奪三振。1900年以降では歴代5位。

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