マエケン絶叫「俺やったよ~」 広島98年以来の20勝一番乗り

[ 2014年5月5日 05:30 ]

<広・D>ファンから鯉のぼりを受け取る前田健

セ・リーグ 広島5-2DeNA

(5月4日 マツダ)
 これぞエースだ!広島・前田健太投手(26)は4日、DeNA戦に先発し、8回を3安打2失点と好投。本来の調子を欠く中でも試合中に修正し、22日ぶりの白星となる今季3勝目をマークした。連日の3万人超えの大観衆の前で投打ががっちりかみ合った赤ヘルが、2位・阪神とともに、98年以来、16年ぶりの両リーグ最速20勝に到達した。

 マツダスタジアムを真っ赤に染めた大観衆が一瞬、静まりかえった。プレーボールの合図からわずか1分。前田健が投じた2球目のチェンジアップが甘く入り、先頭の石川に右翼席に放り込まれた。12年5月13日の中日・大島以来、自身3本目の先頭打者被弾だった。

 「先頭弾は(精神的なダメージが)だいぶ来た。球場全体が盛り上がっていたのに、雰囲気を悪くしてしまった」

 めったに見られないエースの光景はまだ続く。1死後には梶谷を四球で歩かせた。2―1の4回には、先頭・梶谷にまたもチェンジアップを三塁打された。中村に同点の右犠飛を許すと、続く筒香にも四球。最速は149キロで150キロに届かず、チェンジアップの制球にも苦しんだ。

 それでも「引き出し」の多さが前田健の強みでもある。「6回くらいからましになってきた」とチェンジアップを減らし、緩いカーブとスライダーで組み立て、6回以降はノーヒット。8回を98球で3安打2失点にまとめたのは、さすがだ。

 昨季までとは違う空気感の中でプレーする。この日もレッドソックスのギャレン・カー特命スカウトが初めて視察に訪れた。昨オフにメジャー挑戦希望を表明。以降、本人は「夢」について沈黙を守っているが、「行く前に優勝に導いて」との周囲の声はより耳に入るようになった。「嫌な声ではないです。応援してもらっているからこそ…なので」。メジャー移籍前年に楽天を日本一に導いたヤンキース・田中のようなオーラを漂わせる右腕に、野村監督は「さすがエース」と称えた。

 チームは98年以来16年ぶりの両リーグ最速20勝に到達。大歓声を浴びたお立ち台では「きょう、俺やったよ~」と絶叫した。「きのうの負けを取り返せた。今のチームは悪い流れや負けが続かない。この1勝で、またいい流れになればいい」。23年ぶりのリーグVへ。首位を堅守する軍団の先頭には、絶対エースがいる。

続きを表示

この記事のフォト

2014年5月5日のニュース