井口を変えた王さんの“裸”の打撃指導「打者が先手になれ」

[ 2013年7月27日 09:00 ]

ダイエー時代の井口(左)と王氏

パ・リーグ ロッテ2-3楽天

(7月26日 Kスタ宮城)
 ロッテ・井口のダイエー入団時の監督を務めたソフトバンク・王貞治会長は「最初はプロの球に苦労もしていましたが、右方向への長打が特長で、二塁手にコンバートしてからは、肩の強さとともに、打撃が売りの期待通りの活躍をしてくれました。(米国から)帰国後も活躍する選手が少ない中、チームの主軸としての活躍は、たいしたもの」と賛辞を送った。

 井口は入団4年目まで年間で打率・250を割った。そんな男を変えたのが、王会長だった。

 「投手が先手になっては駄目。打者が先手になれ。打席に入ってからも素振り(と同じ振り)ができるかだ」

 シャワールームで裸のまま伝えた言葉は、それまでバットの握りやスイングなど技術的に試行錯誤していた若者の意識を変えた。どんな選手も素振りがベストスイングだ。投手のリズムに合わせ、素振り同様のスイングをすること――。その後も「球の軌道が見えるようになる」など事あるごとに打撃の本質を説いた。

 昨年2000安打を達成して現役引退した青学大、ダイエーを通じての先輩、小久保裕紀氏のパーティーで「次はお前のパーティーでスピーチだな」と井口に声をかけた王会長。年賀状には「名球会で待っています」の文字をつづった。

 「いままでの経験を生かし、2000本は通過点として、これから一本でも多くのヒットを打ってほしい」とさらなる期待を寄せた恩師。ありふれた言葉でも、温かく厳しいメッセージが井口を支えてきた。

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2013年7月27日のニュース