最長3秒…唐川 じらしけん制でソフトBの“足封じ”

[ 2012年4月30日 06:00 ]

<ロ・ソ>完投で4勝目を挙げたロッテ・唐川(左から2人目)はナインと喜び合う

パ・リーグ ロッテ2-1ソフトバンク

(4月29日 QVC)
 芸は身を助ける。ロッテ・唐川侑己投手(22)が29日のソフトバンク戦で1失点完投でハーラートップタイの4勝目を挙げた。試合の流れを変えたのは初回にけん制で一塁走者を刺したプレー。けん制に至るまでの3段階の間合いの変化で走者を欺き、自らピンチを断った。ただ投げるだけではない。5年目右腕は「勝つ投手」への階段を着実に上っている。

 初回無死一塁。今季7盗塁と快足の明石を走者に出して神経を消耗する場面だったが、唐川は全く動じなかった。

 続く長谷川の打席。初球の前にセットポジションに入ってから0・9秒でけん制。その後カウントは2ボール1ストライクになった。犠打、ヒットエンドラン、盗塁と仕掛けやすい状況で唐川はなかなか打者に投げない。2回目のけん制は2・8秒。勝負は次の3回目だった。セットポジションで静止したまま時がたつ。3秒がたった瞬間、素早いターンから一塁へ矢のようなけん制。じれたように逆を突かれた明石のヘッドスライディングは間に合わなかった。

 ソフトバンクは25試合で両リーグトップの37盗塁。唐川は「もともとソフトバンクは走ってくるチーム。明石さんは足が速いのでカウントとか状況に応じて(けん制するまでの長さを)考えた。走者が走ってくれたらくれたで、チャンスだから」と振り返る。一方の明石は「(左)肩が入ってないんだけど、一瞬入ったように見えた」。唐川の長い球持ちによって目の錯覚を起こしたかもしれない。そして素早いけん制。唐川は前楽天監督の野村克也氏が「世界一うまい」と評価する先輩の小野から学んでいる。

 さらにけん制は走者を刺すことだけが目的ではない。けん制するまでの球持ちで自分の間合いに引き込みスタートを遅らせれば、盗塁成功率も下がる。相手先発の岩崎が初回無死一塁の同じ局面でモーションを盗まれて盗塁を許し、先制されたのとは対照的だ。「試合のポイントだった。けん制もうまくなったし、ゲームの流れを読む余裕がある」と西本投手コーチ。唐川は21日の西武戦(QVCマリン)でも二走・原を絶妙のけん制で刺した。今季5試合で4勝目(1敗)。数字は必然の結果といえる。

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