誕生日の内海 「なかった」ツーシームで三十路1勝

[ 2012年4月30日 06:00 ]

<巨・神>お立ち台で加治前(右)から贈られたバースデーケーキをほおばる巨人・内海

セ・リーグ 巨人2-0阪神

(4月29日 東京D)
 巨人・内海が心の中でガッツポーズしたのは5回2死走者なしの場面だった。マートンを初球で二ゴロに片付け、わずか7球で3者凡退。一見平凡なこの1アウトに、この日30歳を迎えた大人の新たな顔をのぞかせていた。

  「阿部さんとツーシームを使っていこうと話して、有効的だった。今までは使えなかったというより、なかった。マートンのあそこが、一番狙い通りに投げられました」

 外角からシュート気味に沈む新球で芯を外し、安打製造機を手玉に取った。球の縫い目に沿い指をかけて握るツーシームは、いわゆる直球のフォーシームに比べ空気抵抗の関係で、球速は少しだけ落ち手元で微妙に変化する。「シュート回転だけとも限らない。縫い目への指の乗せ方で逆に落ちたりもする」と川口投手総合コーチ。特に統一球では変化量が増えると指摘される。わずかな緩急差は芯を外すのに打ってつけで、早打ちを誘うこともできるわけだ。

 シーズン中での思い切った挑戦。きっかけは前回20日ヤクルト戦(神宮)での敗戦にあった。「直球がシュート回転してしまう球が多くて。それだったらツーシームにしてみない、と阿部さんと話した」。発想の転換。2日前のブルペン投球で試したぶっつけ本番だった。「左打者への内角にも使った。どう回転するかまだ分からないけど、真っすぐのつもりで投げている」。意識付けて投げ分けることで直球のシュート回転は減り、打者は的を絞りづらい。ハイライトは6回1死満塁。城島には一転、胸元へフォーシームを突きつけ、遊ゴロ併殺に仕留めた。「あそこは気持ちしかなかった」という力勝負でねじ伏せた背景には新たな武器の残像もあった。

 「志半ばではあるが、日々成長している。しかし、頂点はより上にあるでしょう」。原監督は三十路(みそじ)の投球をみせたエースに、さらなる進化を望んだ。30歳。ここから脂が乗ってくる。

 ▼巨人・阿部 右打者の内角にきっちり放れていた。(ツーシームは)今の球(統一球)では使っていった方がいいよ。

 ▼巨人・川口投手総合コーチ ツーシームという新しい武器を手にしたし、真っすぐがシュート回転せずしっかり投げ抜けていた。

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2012年4月30日のニュース