由規13K5勝目!「特別な1年。全部勝つつもり」

[ 2011年5月27日 06:00 ]

<ヤ・オ>7回、田口から11個目の三振を奪い、雄叫びを上げる由規

交流戦 ヤクルト3―1オリックス

(5月26日 神宮)
 ヤクルトの由規投手(21)は26日、オリックスを相手に自己最多の13三振を奪って8回1失点でハーラートップタイの5勝目をマークした。引き分けを挟んで5連敗中と、首位陥落の危機にあったチームを白星へと導いた。課題の打線はこの日も湿りがちだったが、成長を遂げた若き右腕の奮闘で息を吹き返した。

 思いのたけを白球に込めた。由規が自己最多の毎回13奪三振で8回1失点。今季最多128球で5勝目、奪三振数ともリーグトップタイに立った。

 「13個も取ったんですか?三振はそんなに意識していなかったけど、決め球の意識は凄くあった。自分自身気持ちが入っていたし、そういうのが表れた」

 5回だ。連続四球で無死一、二塁のピンチを招いた。昨季までならここで自滅していた場面。マウンドで荒木チーフ兼投手コーチに「自分のペースを貫け」と諭されると、続く梶本勇から3連続三振。初回以外は毎回走者を背負いながら、最速153キロの直球とスライダーで要所を締める粘りの投球。なかでも田口、李スンヨプ、ヘスマンの中軸3人から計7奪三振で1安打も許さなかった。

 地元凱旋を経て強くなった。東日本大震災後、初めて宮城県仙台市に帰省した20日楽天戦(Kスタ宮城)は8回2失点で2敗目を喫した。白星は挙げられなかったが、22日には震災の犠牲となった仙台育英でバッテリーを組んだ1学年上の先輩、斎藤泉さん(享年22)の実家を弔問した。その部屋で高校時代の野球ノートを見た。斎藤さんが仕事かばんに入れて大切に持ち歩いたため、まだ津波で濡れていた。06年夏の宮城大会優勝までの過程、由規の表情が事細かに記されていた。「しゃべっている時はいつも笑い話。でも、ここまで見ていたんだと」とかみしめた。

 昨年の5月26日は、高田前監督が交流戦9連敗の借金19で引責辞任した。あれから1年。21歳右腕の奮闘でチームの連敗は5で止まり、首位をキープした。制球面が課題だった21歳も今や防御率もリーグ3位で、投手3冠を狙える位置にいる。

 「今年が特別な1年なのは変わらない。全部勝つつもりで投げる」

 本気になれば世界が変わる。斎藤さんとともに過ごした仙台育英硬式野球部が掲げる言葉だ。

 ▼ヤクルト・荒木チーフ兼投手コーチ 今年の由規は自分で修正できるようになった。バランスのいい投げ方。(大崩れは)もうないんじゃないかな。

 ▼オリックス・正田打撃コーチ(由規について)真っすぐとスライダーの腕の振りが同じで、どうしても(バットを)振らされる。

 ≪50Kもセ1位≫由規(ヤ)が8回1失点、13奪三振で内海(巨)と並びハーラートップタイの5勝目。50奪三振もリーグ最多タイとした。1試合13奪三振は昨年8月26日横浜戦、同年9月3日同戦での各11個を上回る自身最多。ヤクルト投手の13奪三振以上は、07年5月15日中日戦で館山が14奪三振して以来4年ぶりとなった。由規は今季本拠地の神宮で3戦3勝、防御率0・72。特にクリーンアップはこの日10打数無安打、3試合で27打数1安打とほぼ完璧に抑えている。

続きを表示

この記事のフォト

2011年5月27日のニュース