新人完封一番乗り!サブマリン牧田、待望のプロ初勝利

[ 2011年5月7日 06:00 ]

<楽・西>完封でプロ初勝利を挙げた牧田

パ・リーグ 西武2-0楽天

(5月6日 Kスタ宮城)
 黄金ルーキーは斎藤や沢村だけではない。西武のドラフト2位・牧田和久投手(26)が6日、楽天戦で新人一番乗りとなる完封勝利を挙げた。128球の熱投で、4番・山崎武司内野手(42)を3三振を含む4打数無安打に抑えるなど、楽天打線を6安打に封じ込めた。過去3度の登板は好投しながら勝ち星に恵まれなかったサブマリンだが、田中将大投手(22)に投げ勝ち、待望のプロ初勝利を手にした。
【試合結果】

 最後まで冷静沈着だった。9回2死。牧田が投じた128球目。スライダーで鉄平を二飛に打ち取っても、グラブを軽く叩いただけ。完封でのプロ初勝利。初のお立ち台でも、マウンドと同じく、表情を崩すことはなかった。

 「心の中では喜んでいました。うれしかったですけど、まだ喜ぶところじゃない。ここで満足しないで、次も良い投球ができるように。日本一になってから喜びたい」

 静清工(現静清)1年時に上手投げから下手に転向し、心に決めたことがあった。下手投げの本格派投手になる――。ブルペンでは、スムーズなフォームで次々とストライクを投げ込んだ。牧田は「下に変えても、制球に困ったことはなかったですね。投げる前に自分がどんな姿で投げればいいのか、頭の中でイメージするんですよ」。大学、社会人と、年を重ねるごとに、直球にこだわりながら、自分色のアンダースローを作り上げた。

 開幕から3試合は好投しながら打線の援護に恵まれずに2連敗。それでも自らのスタイルを貫いた。この日は128球中、70球が直球系の球種だった。真っ向勝負は、好調な4番打者に対して顕著だった。初回、4回と山崎を内角直球で見逃し三振。7回には先頭打者として迎え、走者がいないにもかかわらずクイックで投じ、空振り三振。プロ25年目のベテランをもほんろうするルーキーの投球術。その後に迎えた1死満塁の最大のピンチでは、「これもプロの洗礼。打たれてもいいという開き直り」で果敢に攻め、中谷を空振り三振、内村を投ゴロに打ち取った。

 最速は134キロ。こだわり続ける直球は、リリースポイントを変えることで同じ直球でも数種類の球種になるという。頭の中で球を離す瞬間までイメージし、体現できる技術を持っている。そんなサブマリンに渡辺監督は「ルーキーらしからぬ投球」とうなった。

 開幕前の4月2日。渡辺監督からかけられた言葉は、鮮明に頭に残っている。「プロとアマチュアの違いは、1年間試合に投げ続けること。そのためにどうすればいいかを考えてくれ」。新人一番乗りの完封勝利にも喜びを爆発させなかったのは「1年間投げ続ける」ことの責任を感じているからだ。牧田は言った。「シーズンは長い。相手もデータや対策を考えてくる。どうやって抑えるか、勉強していきたい」。そこには新人投手の面影はなかった。

 ▼西武・銀仁朗(牧田の投球に)一番良かったのは真っすぐ。打者のタイミングをうまく外すことができた。

 ▼法大・神長英一コーチ(50)(昨年まで日本通運の監督として牧田を指導)プロに行ってから遅いカーブを投げるようになって投球の幅が広がった。130キロぐらいの直球を速く感じさせるようになったのではないでしょうか。

 ▼静清工(現静清)薮崎雄大野球部長(43) 完封とは凄いですね。びっくりしちゃいました。開幕前に彼には“プロで長くやってくれよ”という話をしたので、きょうの勝利は200分の1くらいで考えてもらいたいね。

 ≪30年ぶりのチーム一番乗り≫西武のルーキー牧田が6安打完封でプロ初勝利を挙げた。今季勝利を挙げた新人は7人目で、完封は牧田が初めてだ。西武は今季2度目の完封勝利だが、4月23日オリックス戦は3投手による継投。西武の新人による完封は07年岸以来だが、チーム完封一番乗りは81年4月7日の日本ハム戦で初登板初完封の杉本正以来、30年ぶりとなった。この日を含め4試合に先発した牧田の投球中のチーム得点は順に2、0、1、2点。打線の援護に恵まれないながらも、好投を続けてプロ初勝利をもぎ取った。

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