ダルビッシュ“魔球”でバット4本粉砕!

[ 2011年4月6日 06:00 ]

練習試合<ソ・日>3回無死、内川の打球を捕球するダルビッシュ

練習試合 日本ハム2―3ソフトバンク

(4月5日 ヤフーD)
 さあ4・12へ――。日本ハム・ダルビッシュ有投手(24)が5日、ソフトバンクとの練習試合(ヤフードーム)に先発し7回5安打11奪三振2失点。右打者の内角をえぐるワンシームで、新加入の内川聖一外野手(28)らのバットを4本も粉砕した。東日本大震災の影響で12日に延期された開幕へ向け、この日はダルビッシュを含め多くの開幕投手候補が登板。被災地へ、そして日本全国へ元気を届けるシーズンは間もなく始まる。

 力ない打球が三塁へ転がると同時に、バットの木片が勢いよく飛び散った。5回だ。今季横浜からソフトバンクへFA移籍してきた内川に、フルカウントからダルビッシュが148キロのワンシームを投げ込んだ。直球と同じ軌道から内角へ浮き上がるように動く。08年に右打者最高打率・378をマークした好打者のバットは、3回の投ゴロに続いて再び砕けた。

 「きょうはバットを折るべくして折ることができた。折れたのは全てボールを動かしたもの。嫌なイメージを植え付けることができた」。3回、二塁内野安打となった小久保の初球、7回に細川がファウルした5球目。この日は計4本のバットを破壊した。全てがワンシームだった。

 昨年の開幕直後「魔球」とも呼ばれたワンシーム。威力抜群でありながらも多投したことで逆に狙われた経緯があり、封印した。今年2月の沖縄キャンプでも「2、3球しか投げていない」。この日の試合前ブルペンでも1球試投しただけだが、開幕前の最終登板であえてテストした。投球の幅が広がるのはもちろん、ツーシーム以上にスピード感のある魔球は相手打線にとって脅威以外の何物でもなかった。

 忘れられない1年が始まろうとしている。未曽有の東日本大震災。高校時代を過ごした仙台、そして東北地方は大きな被害に遭った。自身は義援金として5000万円を寄付。チームメートと一緒に街頭にも立って募金を呼び掛けた。プロ野球選手として何ができるか。「完璧な投球は開幕してからの楽しみにしてほしい」。そう不敵に話した絶対エース。みんなを笑顔にさせたい。開幕まで1週間、そんな誓いをダルビッシュは現実にする。

 ▽ワンシーム 人さし指、中指、ボールの縫い目(シーム)を平行にし、2本の指の間で縫い目を挟むように握るムービングファストボール(動く直球)の一種。ボールの進行方向の面に対し、直球(フォーシーム)は1回転の間に縫い目が4度、ツーシームは2度通過する。ワンシームはほぼ縫い目が進行方向の面に接したままの状態になる。縫い目の角度により変化が複雑となり通常は制球が困難。メジャーではブレーブス・ハドソンらが持ち球にしている。

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