東北、練習試合中止…本番へ「実戦メニューで」

[ 2011年3月22日 06:00 ]

「夢舞台 甲子園へ」と記された横断幕を背に練習を行う東北ナイン

選抜高校野球

(3月23日 甲子園)
 東日本大震災の影響で開催が危ぶまれた第83回選抜高校野球大会(日本高野連、毎日新聞社主催)は、23日に甲子園球場で開幕し、12日間にわたる大会が開幕する。22日は午前10時から開会式のリハーサルを行う。運営を簡素化するため入場行進を行わず、外野に整列した選手たちが1校ずつ前へ進み出る。選手宣誓は創部1年目で出場を決めた創志学園(岡山)の野山慎介主将が務める。
【日程】

 雨にも負けない!地元・仙台が甚大な被害を受けた東北(宮城)は、大阪府大東市で大阪桐蔭との練習試合を予定していたが、雨のため中止。前日も2試合予定していたうち1試合が流れており、震災後に急きょ組み込んだ実戦は結局1試合しかできなかった。それでも上村主将は「仕方ない。1試合できただけで幸せ」と笑顔を見せた。

 19日の大阪入りまで食糧不足と栄養不足で、体調管理もままならない状況。さらに、本番前の実戦も満足に行うことができなかった。ただ、下を向いているわけにはいかない。「今後は、練習も(実戦的な)メニューを考える。あとは、選手たちの意識次第」と五十嵐征彦監督。チームは急きょ同市内の屋内練習場を借り、内野ノックなど守備中心の練習に没頭した。

 この日は大阪桐蔭の父母会が前夜から10数人がかりで豚汁200食分を用意し、差し入れた。同会の広畑智香余婦人部長(60)は「1試合でも多く勝って地元を勇気づけてほしい」と話し、豚汁をほおばる選手の笑顔に涙を浮かべた。

 昨年11月の明治神宮大会以来、対外試合は前日の帝京可児戦の1試合だけ。ぶっつけ本番に近いが、上村主将は「以前の状態に少しでも近づけるよう、一日一日を大切に一生懸命やっていきたい」と言った。

 被災した故郷への思いを力に変えて、大会6日目(28日)の大垣日大(岐阜)戦に照準を合わせに行く。

 ≪被災・両親のために≫控え内野手の工藤は被災した両親のために戦う。実家は津波で大きな被害を受けた宮城・七ケ浜にある。両親の無事は確認できたが、七ケ浜中野球部の仲間はいまだ何人もが安否不明だ。電話はセンバツ出場を決断する前に1度つながっただけ。「両親からは“甲子園に行けたら頑張ってこい”と言われた。どこかでテレビを見ている両親に頑張っている姿を見せてあげたい」と誓った。

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