尚成10勝目!日本人4人目の快挙で“地位確立”

[ 2010年10月3日 06:00 ]

大リーグ1年目で10勝目をマークしたメッツ・高橋

 【メッツ2-1ナショナルズ】25年ぶりの快挙だ。メッツの高橋尚成投手(35)が、大リーグ1年目で10勝目(6敗8セーブ)を挙げた。1日(日本時間2日)のナショナルズ戦に1―1の9回から2番手で登板し、2回を4奪三振の無安打無失点。延長10回にチームがサヨナラ勝ちし、今季10勝目を記録した。メッツの新人での2ケタ勝利は1985年のリック・アギレラ以来。また、日本人投手では07年の松坂(レッドソックス)以来、4人目となった。

 達成感で満ちあふれていた。日本人4人目、そしてメ軍では実に25年ぶりとなる新人での10勝。延長10回にサヨナラ弾が飛び出すと、高橋はベンチを飛び出し、興奮気味に歓喜の輪に加わった。
 「勝ったことは凄くうれしいし、10勝クリアというのも積み上げてきた結晶。(自分が)こういう投手だと米国でも分かってもらえたと思う。満足している」
 1年間の努力が報われた。マイナー契約でのキャンプ参加で始まった。「明日」が保証されない中で、開幕メジャーを勝ち取った。役割も中継ぎから先発、そして抑えとチーム事情に合わせて黙々とこなした。今では絶対的な選手として地位を確立し、米メディアからは今季最も活躍した選手に挙げられるほどだ。
 「長いスパンで見たら、今年は本当にいい土台づくりになった」。抜群の制球力が充実した1年を支えている。日本人投手は移籍当初メジャー特有のストライクゾーンに苦しむ傾向にあるが、高橋は外に広いゾーンに素早く適応。今季右打者への配球は外角はボール球を含めれば全体の58%を占め、左打者は63%。長打になりにくいコースを軸に緩急で打ち取っている。同じコースでもスライダーやシンカーなど違う球種を織り交ぜる老練な投球術も駆使した。
 マウンドに上がる原動力は、家族や周囲のスタッフと、自分を支えてくれ続けている人々への感謝の気持ちだ。今季は10勝8セーブ。もともと記念のボールなどに興味はないが、今季は4月23日のブレーブス戦で初勝利を挙げた時のボールなど、記念球やラインアップカードに日付を書いて保管。「お世話になった方々へあげる」とプレゼントする予定だという。
 チームは今季の不振を受けてマニエル監督、ミナヤGMの退任が決定的。暗い話題が多いチームの中で、高橋の存在は際立っていた。

 ≪最多は松坂の15勝≫メジャー挑戦1年目で2ケタ勝利を達成した日本人選手は4人目。最多は松坂で15勝となっている。今季の2ケタ勝利はドジャースの黒田についで2人目で、日本人史上では9人目の快挙。回数では野茂が7回で最多。エクスポズなどで活躍した大家(現横浜)が3回。以降は石井、松坂、ヤンキースなどで活躍した伊良部が2回、メッツで10勝した吉井とエンゼルス時代に長谷川が1回記録している。

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2010年10月3日のニュース