お帰り!由伸2年ぶり開幕スタメン復活打

[ 2010年3月27日 06:00 ]

<巨・ヤ>4回に同点適時打を放った巨人・高橋、5回の守備につく際に観客の声援に応える

 【巨人4-1ヤクルト】ヨシノブが帰ってきた。セ・リーグは26日に開幕。巨人はヤクルト戦で高橋由伸外野手(34)が「8番・一塁」で2年ぶりに開幕スタメンに復帰し、4回に右前へ同点適時打を放った。2010年の巨人初打点で勢いづいた打線は、5回に阿部慎之助捕手(31)が中前へ勝ち越し2点打。恐怖の下位打線がつながり、原辰徳監督(51)は4連覇へ向け会心のスタートを切った。

【試合結果


 地鳴りのような大歓声が全身を包んだ。138キロのシュートを、腰を中心とした回転運動で右前に運んだ。一塁ベースを回った高橋は両拳を握った。この瞬間のために頑張れた。つらく長い道のりを歩んでこられた。1点を追う4回1死一、三塁で、今季のチーム初打点となる同点打。復活を遂げた天才のバットが、逆転劇による3年ぶりの開幕白星を演出した。

 「本当にうれしい。最高です。試合前はこんなに緊張するものかと思った。この舞台に立ちたいと思っていたから」。2年ぶりの開幕スタメンを果たし、阿部、内海とともに上がったお立ち台では、思わず声が震えた。

 腰痛が再発した08年は打率・236、17本塁打と低迷し、日本シリーズを欠場。オフも腰の状態は上がらず、プロ12年目で初めて開幕を2軍で迎えた昨季は、8月28日の阪神戦(甲子園)での1打席に終わった。藤川の前に見逃し三振。翌日、高橋は手術を決断した。

 ターニングポイントとなった甲子園での1打席。原監督には意図があった。高橋の腰は、昨季開幕の時点で手術を行う選択肢もあった。だが、痛みを抱えながら天性の身のこなしでダメージを減らし、2軍で練習をこなした。腰というナーバスな個所で、なかなか手術に踏み切れない高橋に、原監督は7月下旬に右翼から一塁への転向を打診。調整のペースも上げさせ、8月下旬の1軍出場を打診した。原監督にとって甲子園での打席は復帰ではなく、今季の復活を視野に手術を決断させる打席だった。

 今年のキャンプ、オープン戦でも腰痛の再発に細心の注意を払い、最後の3試合で4発を量産。原監督は8番・一塁での先発を決め、24日の練習中に当面は下位打線、守備は主に一塁で起用する方針を告げた。右翼で07年までに7度もゴールデングラブを獲得し、中軸を任されたことがある男は力強くうなずいた。一塁ベンチで天才復活の安打を目に焼き付けた指揮官は「非常にいいスタートだった」と目を細めた。

 「帰ってきたんだなあと思った。家族、支えてくれた人、みんなに感謝したい。1年できることで恩返しにしたい」。まだ完全復活ではない。高橋の戦いは始まったばかりだ。

 ≪阿部 自画自賛の2点打≫巨人の阿部が、値千金の一打で勝負を決めた。同点の5回2死満塁で石川から2点中前打。5球連続内角攻めもファウルでカット。7球目の外角のカットボールをはじき返した打撃に「我慢勝負だったね。どこかで外の球が来ると思った。反対方向を意識した」と自画自賛した。昨年はチーム最多の32本塁打も今季は7番に座る。「打順にこだわりはない。みんなで助け合って線になればいい」。4回の2打席目でもコンパクトなスイングで中前にはじき返すなど、フォア・ザ・チームに徹した。「144試合この緊張感を保てれば良い結果が出る。今の気持ちをノートに書きます」と充実した表情だった。

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2010年3月27日のニュース