生涯忘れない出来事!肩車で激動のイチ年締めた

[ 2009年10月6日 06:00 ]

今季最終試合のレンジャーズ戦後、肩車をされグラウンドを一周するマリナーズのイチロー(左上)。右上はグリフィー

 【マリナーズ4―3レンジャーズ】マリナーズのイチロー外野手(35)は4日(日本時間5日)、レンジャーズとの今季最終戦で1安打。225安打とし、4年連続6度目の両リーグ最多安打をほぼ手中に収めた。試合後は今季限りでの引退がささやかれるケン・グリフィー外野手(39)と並ぶ“主役”として、チームメートに肩車されてグラウンドを1周した。過去になかったチームの一体感の中で、激動の09年シーズンを終えた。

 まるで優勝パレードのようだった。試合後、選手、首脳陣全員がグラウンドを一周し、スタンドにグッズを投げ込む。地元ファンへの感謝と、今季限りで引退する可能性があるグリフィーをねぎらうための粋な計らい。終盤に差しかかるとグリフィーが数選手に“騎馬戦”の騎馬のように抱えられたのに続き、イチローも肩車されるサプライズ。担ぎ上げられた背番号51はグリフィーに追いつくと、満面の笑みでハイタッチを交わした。
 「最後、あんなふうになると思わなかった。あれは生涯忘れない出来事になるんじゃないのかな」
 胃かいよう、左ふくらはぎの張りで16試合に欠場しながら自身2番目に高い打率・352、同4番目の225安打。驚異的な奮闘の陰には、親友グリフィーを筆頭に、過去になかったチームメートの支えがあった。「単純に気持ちのいいチームでしたね。価値観が共有できている感じが、すごくうれしかった。そんなことは無理だと僕は思っていたので」と話した。
 昨季チームは101敗(61勝)を喫した。そんな中で常に記録とも向かい合っているイチローは時には「孤独」を感じることもあった。しかし、昨オフにフロント陣が一新され監督も交代。グリフィーら多くの選手が新たに加わった。一体感が生まれたチームは85勝を積み上げ、イチローには笑顔が絶えなかった。最後の“セレモニー”が、その象徴だった。米メディアから、グリフィーの去就に関して聞かれると「僕にとってのヒーローと一緒にプレーすることは、夢のような気持ち。これが続くと信じたい」と残留を熱望した。
 WBCでの2連覇で始まった09年。初めての故障離脱という苦難を乗り越え、9月13日レンジャーズ戦で大リーグ史上初の9年連続200安打という金字塔を打ち立てた。「病気やケガのことを考えると、新しい出来事によって大きなプラスが生まれた。技術的には去年が“停滞”と表現したんですけど、去年から見ると進んでいると思います」と言い切った。ツインズとタイガースが優勝決定戦を残しているが、4年連続最多安打のタイトルは確実。36歳で迎える来季へ、さらなる進化を実感していた。

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2009年10月6日のニュース