帝京・伊藤 147キロで中田超えデビュー

[ 2009年8月17日 06:00 ]

<帝京・敦賀気比>帝京の二番手・伊藤拓郎

 【帝京(東東京)5―1敦賀気比(福井)】帝京のスーパー1年生が中田超えデビューだ。第91回全国高校野球第7日は16日、甲子園で行われ、第2試合は帝京(東東京)が5―1で敦賀気比(福井)に快勝。9回2死から登板した伊藤拓郎投手(1年)が147キロをマークし、05年の大阪桐蔭(大阪)の中田(日本ハム)を上回る1年生の甲子園史上最速を記録した。東東京大会で1度も登板しなかった16歳の怪物右腕の登場に甲子園が沸いた。

【試合結果


 1球ごとに甲子園のボルテージが増した。140キロ台後半を連発する伊藤の投球に4万5000観衆のざわめきが止まらない。6球目。144キロの直球で二ゴロに仕留め、最後を締めた背番号18に大歓声が送られた。
 「お客さんが凄い入ってたのでマウンドから見る景色がよかったです。スピードガン?はい、見えてました。うれしかったです」
 好投のエース平原の後を受け、9回2死から登板。東東京大会は、でん部の負傷のため1試合も登板しなかった。5月の関東大会以来、3カ月ぶりの公式戦が甲子園という大舞台だったが、4、5球目に1年生では甲子園史上最速となる147キロを記録。自己最速の144キロを3キロも更新し、前田監督も「練習で一番よかったから放らせたけど、それを甲子園で出してくれた」と喜んだ。
 1年生とは思えない1メートル85、81キロの堂々とした体格。生まれたときから規格外だった。なんと4814グラム。母・史美さん(43)も「病院の記録だったそうです」と笑う。小6で1メートル74にまで成長。東練馬シニアでは最速142キロをマークし日本代表にも選出。受験の際には全国の私学の強豪約50校から誘いを受けたほどの逸材だ。
 帝京では体づくりの一環として部員全員が昼食に米3合の弁当を平らげる。これが伊藤にはきつかった。「最初はなかなか食べられませんでした」。それでも母が作ってくれた2・8リットル入りのタッパーに詰めた弁当を必死に食べ続け、先輩たちに負けない肉体をつくりあげた。
 この日で全校が出場したため第2試合の途中で帰った球団もあったが、“残りもの”を見つけたスカウトたちは一様に驚きを隠せなかった。中でもカブスのマック・デニー・スカウトは「彼が投げた1/3回の資料は、ウチのチームにおいて歴史的価値を持つことになるだろう」と大絶賛した。
 「次は147キロ以上を出したい」と伊藤。今大会注目の花巻東の菊池でさえ1年夏の甲子園では最速138キロだった。末恐ろしい怪物の誕生だ。

 ≪敦賀気比 “内海2世”序盤乱調5失点≫福井大会で38回を投げてOBの内海(巨人)を上回る49奪三振の大会記録をつくったプロ注目左腕・山田が序盤に5点を失った。「空振りを狙った直球をファウルされ、浮いた変化球を打たれた」。正捕手の渡辺が12日の練習中に右手人さし指を骨折、この日は2年生の久保とバッテリーを組んだ。「自分でリードしようと力んだ。こういう時に自分の投球ができず、まだまだだと思った」。涙をこらえながら「プロ野球に行けたら行きたい」と話した。

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2009年8月17日のニュース